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あなどれない風邪 [救急医療]

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若い健常人といえども、一度も風邪を引いたことがない人はいないであろう。 その多くは、医療機関にかかろうが、かかるまいが、自然軽快する。 そんな風邪でさえ、時にはおそろい意致死的疾患へと進んでいくこともあるのだ。医療者とて、それを予測することは不可能にさえ近い。しかし、患者側からすれば、一度医療機関を受診しているのに、なぜこんなに悪くなるんだ!と医療機関に対して不信な気持ちを抱くのも無理はないのかもしれない。 不運な病気は、いわば、予測不可能な大地震災害と似たようなものだ。どこかで、諦め、受容するという心のプロセスが必要だとは思う。しかし、そういう心のプロセスを体得し、ある意味達観の心境の域に達するのは、今の現代社会においては、そうとう難しいとも思う。 健康な状態にあるときから、病気とは? 死とは? そんなことを当たり前のように考えておくことが重要なのだ。病気や死を避けるものではなく、受け入れるものだという社会観を、もっと熟成していかなければならないと私は思う。

本日は、風邪といえども、こんなこともあるのかという症例を紹介する。

17歳 男性(Aさん)   発熱

元来健康。(X-2)日夕方、37.6度の発熱、頭痛、咽頭痛が出現。市販の感冒薬で様子を見ていた。

(X-1)日朝6時ごろ、38.0の発熱となり、頭痛と咽頭痛は続いてた。朝食時に嘔吐あり。その日は、タクシーで学校に向かった。登校後の午前8時30分ごろ、頭痛、鼻、喉、咳、発熱などの症状で、保健室を訪れた。その際、体温38.6度であった。その日は、学校の試験日であったので、保健室で試験をうけた。午前11時25分、保健室を退室し、迎えに来た母親の車で、帰宅した。帰宅後も、38.6度の発熱と頭痛、咽頭痛が続いていた。疲労感もあり、再度市販の感冒薬を服用して臥床した。同日、17時ごろ、嘔気、嘔吐あり。体温は39.5度となっていた。また、Aさんは動悸と軽い胸痛があることを母親に告げた。母親は、Aさんを病院へ連れて行こうと思ったが、当日は、土曜日で、近所の医院がほとんど休みであったため、夕刻にも診療を行っていたH病院を受診した。

18時15分にH病院到着。来院時に、看護師がとったバイタルは、血圧90/46、脈拍123/分、体温39.5度であった。

19時、C医師の診察が始まった。Aさんは、ややうつむき気味で、顔色は白く、やや辛そうな様子であった。

C医師 「どうされましたか?」
Aさん 「はい、昨日から熱があって、吐きました」

C医師 「鼻水や喉の痛みはどうですか?」
Aさん 「はい、どちらもあります」

C医師 「下痢や食欲はどうですか?」
Aさん 「下痢はありません。食欲はまあまあです」

C医師 「ほかにどこか痛むところがありますか?」
Aさんは、言葉ではなく、仕草で左の上腹部(胃のあたり)を指差した。

C医師は、診察の結果、扁桃の肥大と咽頭部のかるい腫脹を認めることおよび心音や肺音に異常を認めないことから上気道炎の存在を考え、さらに胃痛の訴えと合わせて、胃腸炎の合併も考え、感冒性胃腸炎の診断を下した。

C医師 「風邪に胃腸炎を合併しているのかもしれません
      今日はお薬をお出ししておきます。脱水の予防のためにも
      点滴をしておきましょう」
Aさん 「はい、よろしくお願いします」

点滴終了後、Aさんとその母親は帰宅した。
二人が、H病院を出たのは、21時30分頃だった。

帰宅後、Aさんは、深夜1時にも嘔吐した。熱は、38.6度であった。
解熱剤を服用し、その後大量の発汗を認めた。
この夜は、まったく眠れなかったという。

X日午前8時、Aさんから、この話を聞いた母親は、H病院へ電話の後、再度、H病院を受診した。

H病院での昨晩に引き続きの2回目の診察が、午前9時50分に始まった。今度は、D医師が対応した。

Aさんの母  「昨日、こちらで診て頂いた後、家に帰ってからも
         この子は嘔吐したんです。熱は下がったようだし、
         下痢もないんですが、全身倦怠感が強くて、まったく食事
         がとれないんです。」

D医師 「そうですか・・・、入院して点滴が必要かもしれませんね」

D医師は血液検査やレントゲンなどオーダをした。

Aさんは、まず点滴確保の際に、採血をされ、次にレントゲン室で、胸部レントゲンがなされた。

血液の結果は、 WBC7300 Hb15.0
胸部レントゲンでは、 CTR49% 心拡大なし、肺うっ血像なし

さて、Aさんの今後の経過で、最悪のシナリオってどんなことが考えられるだろう。これから、Aさんは、まさにそのシナリオ通りになっていくのだった。

(11月27日 記 続きは後日)

(11月28日 追記)

たくさんのご意見をいつもありがとうございます。 ご意見としていただきました地雷疾患の数々を列挙してみます。 急性心筋炎、急性喉頭蓋炎、髄膜炎、脳炎、劇症肝炎、敗血症、脾破裂(EB感染後)、甲状腺機能亢進症、胃・十二指腸の穿孔 などなどでした。どれも怖いですねえ。

いかがでしょうか、風邪といえども、最悪の経過を想定すれば、これだけの意見が出てくるのですよ。 結果が出た後で、どうのこうの言い、誤診だ!と断罪することが前医に対してどれだけ罪深い、思慮のない行為であるかをわかっていただければ幸いです。

さあ、症例の話を続けてみます。

Aさんは、レントゲン撮影を終えて、レントゲン室から廊下にでたその時、突然、意識を失った。午前10時10分の出来事だった。

「早く!早く!誰か~~~」という悲痛な母親の叫びに、医療スタッフたちが、Aさんの元へすぐに駆け寄った。

Aさんは、母親にもたれかかるようにぐったりとしていた。
すでに、呼びかけに反応もなく、心停止の状態であった。

直ちに、処置室にて、懸命なCPRが施されたが、反応なく、午前11時45分、死亡が確認された。

あっという間の死だった・・・・・・・

Aさんは、翌日、司法解剖の運びとなった。(なぜ司法解剖かは私にはよくわかないが・・・・)

心筋間質には、リンパ球、単核球、好酸球の浸潤が著明であり、出血が散在していた。心筋線維としては、融解、壊死の所見が、左室壁に著明であった。急性ウイルス性心筋炎に基づく急性心機能不全により死亡したと判断された。

この症例は、ある地方裁判所で医療訴訟になった事例の判決文をもとに、一部脚色を加えて、書いています。 この訴訟の結果は、医師勝訴です。妥当と思える裁判官の判断です。その後、原告が控訴したのかはどうかは定かではありません。ただ、この裁判は、どういうわけか、マスコミ報道はされていないようです。もし、医師敗訴だったら、大々的に報道したのではないかと勘ぐっています。

おそらく、こんな不幸な経過を取るのは、何万人に一人かのそこらの割合ではないだろうか? 病気になった患者とそのご遺族にとっては、なんと理不尽な運命であろうか。やりきれない気持ちになるでしょう。ですが、これは、不幸な病気なのです。 医師や病院の責任ではないのです。 そんな大前提のあたりまえの話を、マスコミはほとんど行いません。むしろ、医療不信を煽る記事のほうが主流です。ですから、今の現代社会では、こんな不幸な病気も、医師のせいにさせられてしまう可能性を秘めています。 医療をやる人間にとって、今の社会は大変怖いです。その気持ちは、現場撤退へとつながります。裁判官が、患者側を被害者として認識して、被害者救済の視点で、判決を書くとしたら、それは、確実に医療崩壊へとつながります。大切な家族を病気で失った悲しみを癒すことで、遺族を救済していくことと医療者の責任を追及することは、まったく別次元の話だと私は思います。

次の心筋炎訴訟は、まさに、被害者救済ではないでしょうか? 新聞報道より転記します。

1998.02.19 
市民病院の医療ミス訴訟初弁論 S市側、争う姿勢--W地裁

心筋炎で長女が死亡したのはS市民病院の医療ミスが原因として、K町の夫妻がS市を相手取り、総額約7546万円の賠償を求めた民事訴訟の第1回口頭弁論が18日、W地裁(xxxx裁判長)であり、市側は訴えの棄却を求め、全面的に争う構えを見せた。訴えているのはXXXさん(32)と妻XXXさん(32)。訴状によると、長女XXXちゃん(当時5歳)が199X年XX月16日、前日から入院していた同病院で心筋炎による急性心不全のため死亡したのは、初期診断や治療のミスが原因で、「(XXXちゃんが)一晩中苦しみ何度も看護婦に訴えたが医師の診察はなく、経過観察義務を怠った」としている。これに対し市側は「病院の処置に誤診はない」などと主張し、観察義務違反や賠償責任の有無について争っていく方針。次回弁論は4月8日。毎日新聞社

2002.03.30
S市民病院の損賠訴訟 「長女死亡、医療ミスない」 原告側の請求を棄却
  
長女(当時5歳)が心筋炎で死亡したのは、初期診断と経過観察のミスが原因とし
て、XXXXさん(36)と妻XXXさん(36)夫妻がS市立市民病院を相手取り、慰謝料など総額約7546万円を求めていた損害賠償請求訴訟で、W地裁(XXXX判長)は29日、原告側の請求を棄却した。原告側は控訴の意向を示した。XXXXちゃんは9X年11月15日、発熱や腹痛、両まぶたがはれるなどの症状を訴え、同病院に入院。翌日午前に心筋炎であることが判明し、同日、急性心不全で死亡。XXXX夫妻は「病院が単純な風邪による脱水症状と判断し、注意義務も怠ったため」と訴えていた。XXXX裁判長は判決で、死亡した当日朝の脈拍数が正常で、レントゲン写真でも心肥大が認められなかったことなどを挙げ、「心筋炎の診断が可能とは認められない」として訴えを退けた。判決後、XXXXさんは、「主張が一切認められず、とても残念」と話した。 【福田隆】 毎日新聞社

2002.04.11
S市民病院の医療過誤訴訟 原告が控訴

長女(当時5歳)が死亡したのは診断ミスが原因として、XXXXさん(36)、XXXXさん(36)夫妻がS市民病院を相手取り、慰謝料など7546万円を求めていた損害賠償請求訴訟で、原告側は10日、原告の請求を棄却した1審のW地裁判決を不服として、O高裁に控訴した。XXXさん夫妻の長女は9X年11月15日、発熱や腹痛を訴えて同病院に入院したが、翌日心筋炎であることが判明、急性心不全で死亡した。XXXさん側は「病院側が単純な風邪と判断し、経過観察が不十分だったため」と訴えていたが、W地裁は先月29日の判決で「心筋炎の診断が可能とは認められない」として、請求を棄却した。毎日新聞社

2005.04.29
S病院の医療ミス訴訟:両親が逆転勝訴 5400万円命令

S市民病院の初診時の診断ミスなどが原因で長女(当時5歳)が死亡したとして、両親が新宮市に損害賠償を求めた訴訟で、O高裁は28日、請求を棄却したW地裁判決を変更、同市に約5400万円の支払いを命じた。XXXX裁判長は「初診時に心疾患の可能性を排除したのは注意義務違反で医師に過失があった」と判断した。原告は、XXXXさん(39)と妻XXXXさん(39)。判決によると、長女XXXXちゃんは9X年10月ごろから、せきや発熱が続き、翌11月15日に症状が悪化。同日夜、S市民病院の救急外来で診察を受け、気管支肺炎などと診断され入院し、翌16日午後1時過ぎ、心筋炎による急性心不全で死亡した。【前田幹夫】毎日新聞社

7年にもわたる医療者側と患者側の戦いの報道の軌跡です。これで、誰が幸せになるのでしょう?? 心筋炎は、本当に怖い病気です。 病気という自然に、医療は勝てないこともたくさんあるのです。 こういう判決をみると、私は、ただただ脱力あるのみです。 どんなにがんばっても医療を行ったとしても、こういう理不尽としか思えない裁判に自分が巻き込まれてしまうのではないかと強い不安にかられます。つまり、明日はわが身としか思えません・・・・。

こういう気持ちになっている医療者は、きっと私一人ではないでしょう。

 


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コメント 20

コメントの受付は締め切りました
pulmonary

いつも興味深く拝見しています。
頻回の更新とネタの多さに頭が下がるばかりです。

今回の症例は若年者で、感冒様症状
頭痛、発熱、嘔吐、咽頭痛、胸痛、動悸・・
とくに最後の2つが重要なのでしょうか

まれではありますがウイルス性の心筋炎などピットフォールになりそうです。下壁梗塞で嘔吐がでやすいように、心筋炎でも関連症状して嘔吐はありな気がします。

あと急性喉頭蓋炎、髄膜炎は除外しておきたいところです。
by pulmonary (2007-11-27 21:59) 

北の狼

>>ややうつむき気味
>>言葉ではなく、仕草で左の上腹部(胃のあたり)を指差した。

この当たりが一つのポイントでしょうか。
私は最近当直中に、40代男性で同様の症例に出くわし、○○X線で診断をつけ・・・・こちらの息が止まりそうになりましたは・・・・、すぐに某県立病院に転院させましたが。

最近、成人例が増えているということです。
トラヘルパーを使った経験がない人は、ピンク針を5,6本ご用意ください。
by 北の狼 (2007-11-27 22:05) 

kinmuiです。

発熱、頭痛、嘔吐、それから 軽いけど 胸痛、動悸ですか。。
見逃すとこわいのは 
心筋炎とかも 考えておかないといけないでしょうかね。
心拡大は ギリギリなし ということでしょうかね。心エコーはあててみないといけなさそうですね。

患者さんが答えないで 母ばかり というのは
胸痛をのぞけば 髄膜炎(や脳炎)もありえなくはないな。腰椎穿刺しないとわからない。

なんとなく おかしいけど は 激症肝炎になったとか。経験があります。

他には 白血球増多を来さない 感染症ですね。
by kinmuiです。 (2007-11-27 22:07) 

moto

なんかもう、心筋炎しか思いつかないんですが、入院時検査でECGが伏されてるし・・しかし、これが「ひっかけ」だったりして。
北の狼様のおっしゃってるのは、軟部X線で急性喉頭蓋炎でしょうか?
全身倦怠感強くて、食事とれないっていうと、劇症肝炎への地雷もありですかね。
もしECGで心筋炎だったら、来院時すでにショックバイタルだし、人工心肺のある救命センターに依頼転送するしかないですかね?それも一刻を争う。しかし、そんなとこ、日本に何か所あるんだろう?
by moto (2007-11-27 23:30) 

koba

鼻炎症状(鼻水)、咽頭炎症状(咽頭痛)、下気道症状(咳)の3領域(広い領域)場合は、細菌よりは圧倒的にウイルス性(非特異的上気道炎型)が多いですので、胸痛、動悸(+)からも、やはりウイルス性心筋炎を最も疑います。
発熱、嘔吐:髄膜炎の否定は必要と思うので、jolt accentlation,neck flexionくらいのチェックをまずしたいです。

高熱にショックバイタルの時点で血培は取りたくなります。
また、感染症のfocus探しなら、(頻度順)。
1.呼吸器(肺炎)
2.尿路(腎盂腎炎含む)
3.消化管(肝胆含む)
4.中枢神経(髄膜炎含む)
5.軟部組織(関節含む)
6.sepsis(IE含む)
を検索をしたいところです。関節炎がもしあったのならリケッチア類も鑑別に挙がります。ツツガムシの刺し口検索なども…

胸痛、動悸(+)ですから、心筋炎・IE(心先天奇形のチェックも)に心エコー。
嘔吐(++)ので、脱水の評価も兼ねて尿検査で尿の色(黄染)(結膜黄染より感度高い)、で劇症肝炎(上気道症状+ならCMVなど)も考慮ですかね。
長文失礼しました。
by koba (2007-11-28 00:27) 

はしくれアメリカER医

不謹慎ながらいつもワクワクする内容ありがとうございます。
今回の症例は若い健康な男性でありながら、おやっと思うところが3つあります。①バイタル②胸部症状③左上腹部痛です。
感染症で怖いのは皆さんがおっしゃるとおり髄膜炎、心筋炎、喉頭蓋炎、Focus不明の敗血症など沢山ありますが、他に何かないかと考え自分は咽頭痛→EB咽頭炎、左上腹部痛→脾腫と考えました。胸部症状が説明できませんが・・・。たしかEBウイルスの急性感染の一番の死因は脾破裂だったと記憶しています。
しかしながらいくら若いと言えどまず何よりもこのバイタルにはRedFlagが挙がりますね。
by はしくれアメリカER医 (2007-11-28 07:38) 

kinmuiです。

頻脈、動悸が問題なのですが
強いて言えば 急に甲状腺機能亢進症になった可能性はあるかも。
嚥下時痛はないのですが、亜急性甲状腺炎とかなんかの急性発症で 感冒などのウイルス感染も合併とか。

あえて他のことを考えようとすれば。
by kinmuiです。 (2007-11-28 08:07) 

god

心筋炎ですか?専門ではないのであまり見たことがないです。
うっかり鑑別から抜けてました。
急性喉頭蓋炎かと思いました。
軟部撮影でpencil sign陽性です。
by god (2007-11-28 08:58) 

クーデルムーデル

やはりウイルス性心筋炎を疑い、心電図と心エコーをまず行いますね。

その他は試験に対する心理的ストレスと感冒によるストレスと市販の感冒薬等に入っているNSAIDsによる薬理作用により胃・十二指腸の穿孔もあるかもしれません。腹部エコーや腹部のレントゲンもすぐに行うべき検査の一つだと思います。(腹部診察所見は記述されていませんが・・・)

EBによる脾破裂も確かに捨てがたいですが、咽頭所見が軽すぎるように思います。でも絶対はないので、頸部リンパ節腫大や肝脾腫の有無を触診し、異常があればということになるのではないでしょうか。
by クーデルムーデル (2007-11-28 09:06) 

ビル

若年者の感冒様症状、胸痛、動悸などからは、
やはり、一番怖いのはやはりウイルス性心筋炎だと思います。
心電図で否定できませんから、心エコー、循環器コンサルトします。
また、みなさんが指摘されているように、血液培養、腰椎穿刺は
施行したいところです。
by ビル (2007-11-28 11:29) 

安達太良

いつも楽しみにしています。
X日とあるので、この日、最悪な状態になってしまうと思われます。
うーん、いつもながら、さっぱり分かりません。
咽頭喉頭蓋浮腫、で、気道閉塞による突然死???

入院してても、間に合いませんでしたか。うーん。
by 安達太良 (2007-11-28 15:32) 

はしくれアメリカER医

追記ありがとうございます。
医学的・医療的に非常に示唆に富む症例ですね。医療訴訟は最終的に誰も幸せになりません。医療訴訟に至るまでにそれを阻止する手だてはいくつかあるでしょうけど、医療訴訟そのものが恨みなどによる私情の割合が多く含まれていることは否定できないことです。なっちゃって救急医さんが書かれたように、裁判所はこれを中立の立場から判断する必要があると感じました。訴訟したもの勝ちというのは恐ろしい世界です。アメリカでは医療訴訟が弁護士にとって完全にビジネス化しており、テレビの宣伝までに出てきますからね。結果として医療過誤保険の高騰や訴訟率上昇による医師不足が深刻化している科・地域があります。要するに訴えるだけ訴えた市民が結局自分の首を絞めるという皮肉なことが起こっているのです。日本の傾向をみていたら決して彼岸の火事ではないですね。
by はしくれアメリカER医 (2007-11-28 20:30) 

単純内科医

かって市民健診の当番で診察をしているときに、20歳くらいの大学生がの診察で、昨日から咳と熱と胃痛と倦怠感が続いていますといいながら、元気そうに受診されました。ふーん風邪かー と思いながら、しかし聴診で明らかに異様な頻脈が。『きみ 胸はどうもない?』 『はい そういえば 少し痛いような 息苦しいような気もします 熱もあるのでそのためかなと、それに親もわざわざ病院に行くこともないでー といっていたし』と。 市民センターの医務室に心電図があることを知っていたので、スタッフに心電図を持ってこさせ、同時進行でスタッフに心臓を見てくれる病院を探すように指示(当日は日曜日)しながら、EKGでは頻脈とSTの微妙な上昇かー  うん 下肢に浮腫が少し。血圧は100そこそこ まずいー (ここで反省 さっさと救急車を呼ばないかんかった) この間10分そこそこ ですが、私には一時間にも。ところが病院がない 救急車が来たが行くところがなく 大學の循環器に直でコールして引き受けてもらいました。結果は心筋炎でしたが、(結果的には助かったのでよかったのですが)、問題はここの親。私から連絡をして事情を話したのですが、最初は『たかが風邪に大騒ぎしやがって』というような雰囲気ありあり。ところが病院で説明を受けた後は、もっと迅速に診断をして、早くに手当てをするべきだと大騒ぎしたということです(後日病院からの連絡で聞きました;確かに病院に到着するまでに30分少しかかりましたし、市民センターでは治療をできていませんので) そのときに思ったのは、一般人は結果でどのようにでも豹変するものだとよっく身にしみました。 - すみません 単なる過去の愚痴話で。市民健診も油断ならないという経験でした。
by 単純内科医 (2007-11-29 07:32) 

doctor-d-2007

私も心筋炎を見たことがありますが、救う事ができずトラウマになっています。それを思うと、単純内科医先生のファインプレーは表彰ものです。当ブログでも紹介させてください。
by doctor-d-2007 (2007-11-29 11:21) 

元なんちゃって救急医

>はしくれアメリカER医先生

ありがとうございます。そのようにお感じになる今の日本
                               ・・・私は不安です。

>単純内科医先生
怖い話ですね。ありがとうございます。しかし、すごいファインプレーです。
マスコミに報道してもらいたいものです。

>doctor-d-2007 先生
私も、自分の受け持ち2名を心筋炎で失いました。まじかに見てるだけに、その怖さをいつも感じています。
by 元なんちゃって救急医 (2007-11-29 22:33) 

組長

いつも楽しく拝見しています,
初めてコメントさせて頂きます,救急専門医志望の2年目です.
地方の小さな公立病院で研修しているのですが,去年当直中に一晩に外来患者は5人しか来なかったのに,4人が入院になったという濃い晩がありました.
そんな中,帰って頂いた患者さんはなんだかしんどそうな30代の風邪症状の方で入院も勧めたのですが,もう1日様子を見るとの事でしたので翌朝の受診をきつく指示して帰って頂きました.その他は急性胆嚢炎や吐血と濃い症例ばかりで,当直帯を終えた頃にやっとケリがついてホッとした時に,件の患者さんが外来受診され,血液検査でCPK↑,ECGでST上昇(+)にて心筋炎の疑いで入院になったと聞かされ,背筋が凍る思いでした.
外来受診をきつく言っておいてホンマによかったと‥‥

結局,うちの循内のDrが週末休みたいから(入院は金曜日でした)というとんでもなく素晴らしい理由で(!)他院に転送されていきましたが‥‥

来年以降,地雷原の中を進む事を選択したのですが,提示して頂いた症例のような経過で訴えられたらと思うと‥‥頑張ります
by 組長 (2007-11-29 22:48) 

責任回避反対

というか、「心筋炎」って1万人に8人位に発症する医療界でまれではない病気ですよね?
しかも、患者が胸痛や吐き気を初診で訴えていて、そこの検査も診察も怠たっていて、医者を責められないって、多くの病気がある中で様々な病気である可能性をつぶしたり、当てはめたりしながら診察しないで、責任ないってじゃあ、医者の仕事って何?
これだけ、ヒントがって責められないって、じゃあ、あなた人の命に関わること辞めたら?
こんな医者が大多数だから、医療事故しても平気で痛みも罪悪感もない医者が蔓延ってる現実って怖い。
訴えられるのが嫌とか、過保護に育った幼稚で短絡的な考えではなく、職務を全うする考えがあるなら、もっと発展的に思考できるのでは?
by 責任回避反対 (2010-12-27 15:15) 

ビビリの内科医

 本来反応すべきじゃないかもしれませんが、一応反論をお許し下さい。まとめて削除対象、と判定されるかと思われますが、それでも結構です。

 責任回避反対様へ。

>1万人に8人位に発症する医療界でまれではない

 現場に立つものとしては、実に恐ろしい数字です。極めてまれでもなく、また、極めて珍しくもない。この微妙な確率がかえって恐ろしいです。どこで診断の決め手へと持っていくか、悩ましい数字といえます。

>患者が胸痛や吐き気を初診で訴えていて、そこの検査も診察も怠たっていて、医者を責められないって、多くの病気がある中で様々な病気である可能性をつぶしたり、当てはめたりしながら診察しないで
>これだけ、ヒントがあって(誠に勝手ながら、脱字を補わせていただきました。)

 まず、答えが分かっている(この場合、心筋炎と言う診断となったことを知っている)状態から、そこにいたる経過に駄目ダシをする、これをこのサイトでは「後知恵バイアス」「後出しじゃんけん」と呼んでおり、認知のゆがみの一つととらえています。
 またこの場面での提示のされ方だと、人の命に関わるような重症の病気でした、という結論が最初から分かっているわけです。これも「バイアス」の一つです。
 確かに、胸痛、吐き気は心筋炎の症状の一つです。しかし同時に、この二つを呈する病気は山ほどあります。実際の診療の場で、この二つを訴える患者さんに、いつ、「心筋炎」を考えるか、これが医療者の共通の、永遠のテーマなんです。

>医療事故しても平気で痛みも罪悪感もない医者
 これは根拠もなく断言させていただきますが、そんな医者こそ、10000人に8人どころか、1人もいないと確信しております。
 往々にして、医療従事者は自責的な方が多いです。裁判、報道という形で責められなかったとして、自分で自分を責めている医療者が殆どです。

>訴えられるのが嫌とか、過保護に育った幼稚で短絡的な考えではなく、職務を全うする考えがあるなら、もっと発展的に思考できるのでは?
 まず、訴えられるのは誰でも嫌です。責任回避反対様は、ご自身のお仕事で何か他人に避けられない不利益を与えてしまうような場合、訴えられたいですか?
 まして、現在の医療事情では、むしろ「訴えられるのが嫌」であるが為に、不要な検査が横行しているのも事実です。責任回避反対様の文面からはもっと検査したら見逃さなかったはずだ、というニュアンスを感じましたが、今はむしろ、検査はよりされる方向へ傾いているのが現状です。
 また、医療者は往々にして完璧主義な方が多く、自分の失敗をなかなか人に語らがらないものです。そんな中、このような例を沢山提示していただけるこのサイトは非常に価値があると確信します。
 発展的な思考、とありますが、この心筋炎に関しては、いや、その他多くのエントリーにて、不肖私を含め、多くの医療者だけではなく、非医療者が体験談を元に討論されています。これは発展的な思考ではないでしょうか?
 不信感がおありなことと思われます。ですが、一度気を静めていただき、このサイトのほかのエントリーにも目を通してみてはいかがでしょう。コメント欄にも目を通してみてはいかがでしょう。

 何より気になったことが一点あります。
 最近、私がよく読む本の著者に、内田樹という方がおられます。その方、及び、大変尊敬し、メールのやり取りもしている先生(この方は医師です。内田氏は医療者じゃありません。)もおられます。そのかたがたの言葉に、考えてみればあまりにも当然な言葉があります。
 「他人を攻撃しても誰も幸せにならない」です。
 とかく、攻撃的な文言が目に付きました。
 それで、あなたは幸せでしょうか。私たち医療者のことはともかく、あなた自身はいかがでしょうか?
 後個人的興味から一点。
 コメント欄の少し上、 単純内科医先生の(2007-11-29 07:32)の書き込みを一度読んでみて下さい。この体験談について、どう思われますか?私の率直な感想としては、「よくこれで見つけたなぁ・・・。」です。
 
by ビビリの内科医 (2010-12-27 18:01) 

なんちゃって救急医

ビビリの内科医先生

ご丁寧なコメントをありがとうございます。

私自身は、ここで何かを議論するという行動は選択しませんので、どうかそのてんをお汲み取りいただきたく思います。

by なんちゃって救急医 (2010-12-27 18:22) 

え

医者なら心筋炎の知識は持ち合わせるべきだし、重要な見落としがないか確認すべきでしょう。『もしも動悸、胸痛を感じたら受診してください』くらいは言えるでしょう。もちろん、患者側も危機感や知識をもつ必要があると思いますが。
by (2012-12-04 10:48) 

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