So-net無料ブログ作成

結果と考察-ネットで診療評価- [救急医療]

  ↓ポチッとランキングにご協力を m(_ _)m
   

ネット上で診療を評価する にて、ある夜間診療の適切性について、ネットアンケートをとるという試みをしました。N=125の回答をいただきました。ご協力ありがとうございます。質問2においては、大変考えさせられるコメントが目白押しです。回答者の特段の反対がなければ、アンケートの結果をPDF化して、このブログ上で公開したいと思うのですが、いかがでしょうか?一般の方々にも、現場の医師がこれだけ真摯に判断をしているということが分かっていただけるのと思います。もちろん、発信元のIP情報などは公開しません。コメントの反応をみて検討します。
※検討の結果、1月21日20時40分に皆様のコメントをアップしました。
  表のデータの数字をクリックすると自動的にリンクします。

【背景・目的】
なぜ、このような試みをしたかということを説明しておきます。
医事紛争が生じたとき、当然、その時の診療行為が評価されます。ですが、そのときは、すでに「悪しき結果」が生じた後のことです。つまり、評価に加わる人たちは、どの立場(患者、医師、弁護士、裁判官)であれ、すべて結果を知った上で過去のことを検討するという特徴があります。ただ、医師だけは、通常の業務において結果はまだわからないという状況下で種々の判断を行って診療行為を行います。これは、他の評価者(患者、弁護士、裁判官)とは、決定的に異なることです。人間は、だれでも後知恵バイアスをもってものを考えるという特性をもつといわれています。私は、実際の症例検討で、本当に、「診断結果」が診療行為の適切性の判断に影響を及ぼすのか?ということを調べてみたいと思いました。 

【方法】
回答フォームを2種類用意しました。回答するためにブログ内で指定箇所をクリックすると、ランダムにどちらかの回答フォームにリンクするように仕込みました。これで、回答者を無作為に二群に分けました。その2種類の回答フォームを示します。

 

<診断結果を知って回答する群>

この患者は、日勤帯に再来し、採血をしました。WBC22000、CRP28でした。結局、CT検査にて、急性虫垂炎穿孔と診断され、緊急手術となりました。穿孔後であったため入院期間が長めになってしまいました。患者は、夜間の時間外診察で採血や画像検査をしなかったために、虫垂炎が見逃された。その結果、穿孔までしまったと主張。だから、当直医師の診療が不適切だったとクレームを病院に申し立てました。あなたは、そのクレームを受け、当直医師の診療が適切な診療であったか否かを評価する立場です。中立の立場から、ご判断ください。適切性の判断は、時間外診療レベルとして平均的であるかどうかを基準でお考え下さい。

質問1(必須) ○診療は適切である ○診療は不適切である
質問2(必須)質問1でどうしてそのように判断したかを教えてください

<診断結果を知らずに回答する群>

さて、この時点でまだこの患者の転帰はわかっていません。それをふまえて、この時間外診療が適切な診療であったか否かを評価してみてください。中立の立場から、ご判断ください。適切性の判断は、時間外診療レベルとして平均的であるかどうかを基準でお考え下さい。

質問1(必須)○診療は適切である ○診療は不適切である
質問2(必須)質問1でどうしてそのように判断したかを教えてください。
質問3(任意) よろしければ、鑑別診断として重要と思われるものを3つまで
         挙げてみてください。重要とは、確率的にありそうな疾患や
         現実的に除外しておきたい地雷的な疾患などとお考えください

この二つの設問の回答を検討し、もし回答に差が出れば、それは、「診断結果」が診療行為の適切性の判断に影響を及ぼすと結論できるのではないかと考えました。

【結果】 
総回答数 N=125です。 質問2の判断根拠の自由記載から、あきらかに不適切と思える回答はカウントしない予定でしたが、全員が誠実な回答と判断しましたので、すべての回答を検討対象としました。より厳密な調査ならば、重複回答の有無までチェックすべきとは思いますが、その検討はしていません。わざわざ何度も投票する人はいないだろうという判断です。125回答の分布は、次のような結果となりました。

 適切不適切
結果を知らない群352661
結果を知っている群501464
8540125
(表内の数字をクリックすると回答理由のPDFファイルにリンクします)

カイ二乗値=6.1786 (P=0.0129)。 危険率5%の水準で、有意差を認めました。つまり、「診断結果」が診療行為の適切性の判断に影響していると判断しました。

【考察】
今回いただいた回答の中で、医師でないとコメントしていた方は一人。あとは、判断根拠の文章内容から推察すると医師、それも現場・現役の医師が多いように思いました。 上記結果は、回答者の背景がそのようであることを考えておく必要があります。

まず、結果を知らない群について考えます。
感想は、自分の予想を超えて不適切が多かったことです。 適切・不適切の分かれ目は、とにかく検査をする・しないをどう考えるかということでした。 結果を知らない群で、不適切な理由として多いなあと思ったのが、婦人科地雷である子宮外妊娠に対して脇が甘いという指摘でした。腹エコー、尿検査くらいはやるべきやろという指摘です。虫垂炎を積極的に疑って検査すべきという意見はほとんどありませんでした。それは、一般の方々にいかに虫垂炎の判断が難しいものであるかということを伝える客観的な証拠ともいえます。他には、血液的にも安全という証拠をとって帰すべきだといういわゆる血液検査にアラームサインとしての役割を期待して、血液チェックを夜間で行うべきという意見が多かったように私は感じました。

次に、結果を知ってる群について考えます。
私の想定外の結果でした。こちらの方が、適切と判断した人が有意に多いという結果となりました。なぜでしょうか?やはり、今回の回答者が、「明日はわが身」の心境で、現場にいる医師であったからであろうと考えてみました。ですので、悪い結果が出てしまった後で、中立に考えようとしても、無意識のうちに、「自分も当事者になったらたまらない」という防衛機制が判断に影響するのではないでしょうか? たとえ、中立の気持ちで「検査をしなかったのが悪い」といったとしても、それは後医は名医だといって、他の医師から非難ごうごうになるのではないかと、身をもって感じることが出来る人たちが今回の回答者の主体であったからこそ、こんな結果になったのでしょう。これもある意味後知恵バイアスと考えます。

まったくの推察ですが、同じ主旨のことを、一般の方々を対象に検証すれば、典型的な後知恵バイアスがかかった結果が出ると思いました。つまり、結果を知っている群のほうが不適切と考える人が多いということです。

今回のことでわかったことは、やはり後知恵バイアスを取り除いてものを判断するのが難しいということです。

私は、適正、公平な診療行為の判断というのは、複数の医師がその結果をまだ知らされていない段階で行うことが重要と考えます。そのためには、将来、第3者機関ができたとき、次のような提唱をしてみたいと思います。

<提唱>
診療判断をする医師複数を、分野に応じて事前登録
しておきます。そして、何がしかの事例が発生したら、誘拐事件が起きたときにメディアが報道自主規制をするのと同じ倫理に基づいて、いっさい報道は行わずに、登録医師に有害事象の結果を知らせないままで検討し、複数の評価を集めます。そして、統計的に判断をくだします。

そういうシステムが整えば、後知恵バイアスを取り除いた形で、診療行為の妥当性を論じることができると思います。 結果が出た後で、権威がしゃしゃりでてきて、あれこれ言う評価システムでは、多くの医師を納得させることができないと思います。ましてや、評価の中に、遺族代表(例え当事者外でも)が混ざると最悪だと思います。後知恵バイアスに基づいて、強大な判断の捻じ曲げが行われ、まとまる話も、必ずまとまらなくなります。

この小スタディーの結果は、医師さえも、後知恵バイアスをコントロールするのが難しいということを伝えています。遺族代表が入ったらどうなるか予想つきますよね。

もちろん、遺族代表のかかわりは、別な意味で必要です。それは、医学的判断への介入ではなく、喪の作業の援助です。これは、遺族代表のかかわりが極めて重要です。医療の中で家族を失った遺族へ、死の受容、つまり喪の作業が適切に進めば、不毛な医療裁判は激減すると思います。

現状の、診療関連死法案では、以上述べたような視点のかけらすらありません。だから、私はこの法案に断固反対です。

【結論】
結果を知った上で診療行為を評価するときは、どうしても後知恵バイアスがかかってしまう

【個人的な社会への提起】
適正・公正な診療評価を行うために、後知恵バイアスを取り除いた診療評価システムの構築が必要。ITは、そのシステム構築の実現可能性をもつ。このような診療評価システムを社会的に推し進めたらどうだろうか


コメント(45)  トラックバック(1) 
共通テーマ:日記・雑感

コメント 45

コメントの受付は締め切りました
ミヤテツ

 いつも、このブログで、畳の上の水練を行っています。今の勤務では立地条件(離島公立無床診)で診る数自体とても少なくなっていますので。
 すみません。重複回答してしまいました。時間を置いて、クリックしたときに別の質問項目が出たので追加質問だと思い込んでしまいました。
よくみれば、質問自体違っていました。
 最初は、結果を知らされる群、次は知らされない群でした。ともに、適切と回答しています。
 「田舎の消化器外科医」先生のコメントにあるように、そのときの診察状況次第で、検査をするかどうかの敷居は変わると思います。一番忙しい時の状況で、出来るかどうか考えないとといけないと思います。
 
by ミヤテツ (2008-01-21 12:04) 

あつかふぇ

わたしは、結果を知らない群の外科医です。不適切にしました。その理由は妊娠、とくに子宮外妊娠のルールアウトが必要であろうという事と、やはり経過はすべて尋常ではない空気が流れており、腹部の診察所見にでにくい腹膜炎を考えざるを得ないということで、絞扼性腸閉塞や内ヘルニアなどを含むすべての腸閉塞、あと大腸憩室炎の被覆穿孔などを考えて、尿検査、採血(血ガス含)、レントゲンは必須だと考えました。
消化器症状がきわめて乏しく、本例は虫垂炎としては非典型例であるため、虫垂炎はあえて鑑別診断に入れませんでした。
アッペに始まりアッペに終わる・・・という格言通りで、ホントにアッペは奥が深いと思います。
by あつかふぇ (2008-01-21 12:37) 

moto

後知恵バイアスの存在は、5%の危険率で肯定されたわけですが、バイアスが、予想とは反対の方向だったということになりそうですね。
いろんな解釈が可能です。

1.医者は、結果が出ていない状況では、身内に厳しいが、結果が出たあとは、身内に寛容になる。

2.1に似ているが、身内に対して厳しい・寛容というよりも、医療と言う仕事の不確実性から、そういう態度にならざるを得ない。

3.医者・医療に限らず、こういった、後知恵バイアスのアンケートでは、結果が出る前は厳しく、結果が出た後は寛容になる。

4.人間には、結果が出た後で、厳しく評価するタイプのひとと、寛容に評価するひととがいて、医者は、後者のグループに属するひとが多い。

まだまだいろいろ思いつきそうです。
 
by moto (2008-01-21 12:40) 

元ライダー

後出しコメントです(失礼!)
私には結果を知らない群が当たりました。
私なら(一応消化器内科ですから)エコーと採血はするだろうなと思いましたが、それをしないからといって不適切と言えるだろうか?ということで悩み、問1で回答不能になりました。
適切とは、不適切とは、何を持ってそう言うのか?考えてしまいました。
今回不適切と投票された先生も「100点満点ではないけれど、じゃあ不合格なのか?」と改めて問われれば、悩まれる方もいらっしゃるかと思います。

事故調の言う「医療関連死」と同様に、適切・不適切もしっかり言葉の定義をしたほうが良いかと思います。
by 元ライダー (2008-01-21 13:28) 

santa

バイアスの方向が逆になった理由追加

5. 回答者はこの blogを読んでいる人なので、「後知恵バイアスが無いように」と配慮したあまり、逆にバイアスがかかってしまった。

6. 回答者は現場の医師が多いという読みが正しければ、「自分が初診医だったら」というバイアスがかかった。
by santa (2008-01-21 14:19) 

元なんちゃって救急医

地雷紹介のブログにだされた症例という時点で、すでに

「何かあるかもしれない」

というバイアスが読み手にあるのかもしれない。

そのバイアスがあって、何も検査もせずに返したとなると

それだけで、不適切が多くなりそうな気もする?

こういうバイアスをなんというんだろう???
by 元なんちゃって救急医 (2008-01-21 15:50) 

fuka_fuka

> 「何かあるかもしれない」
> というバイアス

回答には参加しておりませんが、本文設問を読んで、そのバイアスの存在は強く意識しました。

Critical Thinking の用語でいくと、「主観的確証」あるいは「期待効果」あたりが近いのかもしれないかな、と思いました。
(実験の際に、観察者に「この生物はこういう動きをすることが多い/めったにこういう動きはしない」と予断を与えておくとと、観察結果がその予断の方向に傾く、という例が典型)

産○の記者あたりにやらせたら、見事に逆の有意差が見られるんではないか、という予断をもってしまいますが、どうなんでしょう。

また、元ライダー先生がおっしゃるとおり、この設問での「適切/不適切」の評価と、法的な「過失(注意義務違反)の有無」は、まったく別物として扱われる必要があると思います(なんちゃって救急医先生には申し上げるまでもないことですが)。
by fuka_fuka (2008-01-21 16:33) 

moto

結果を示されていた群ではなくて、結果を伏されていた群のほうに、警戒心・疑心暗鬼的なバイアスがかかっていたという解釈ですね。
人間は、結果を伏されていたほうが、用心する傾向にあるでしょうから、これも、医師・医療ではなく、一般的にいえる可能性あると思います。
「警戒バイアス」とでも言いましょうか?

同じ患者設定で、1は、虫垂炎穿孔、2は、なにもなく翌日自然軽快、とわけて、有意差が出るかみてみるのも面白そうですね。
by moto (2008-01-21 16:41) 

元ライダー

読み返したら適切不適切の判断基準がありましたね。失礼しました。
>適切性の判断は、時間外診療レベルとして平均的であるかどうかを基準でお考え下さい。
それでも回答は難しいです。平均的レベルがわかりません。知っているのは、せいぜい自分の経験の範囲内ですから。
(だからこそのアンケートでしょうか?)
ただ、時間外診療の合格レベルは設問の範囲内であるべきとは思います。時間外に、この所見から検査を追加するのは善意です。追加しないからといって・・・・。
by 元ライダー (2008-01-21 18:58) 

とび

非常に有意義なテストだったと思います.
今後の医療関連死亡等への対応において,
公的機関の設置や法整備を行なうのであれば,
是非,より広い範囲を対象に,行なうべき
テストだと感じました.

自分は結果を知っている群で,子宮外妊娠の
rule outが不足なのと,採血はできたかな,
という思いでしたが,適切と判断いたしました.
by とび (2008-01-21 19:12) 

非医療者

後知恵バイアスという視点は思いもつきませんでした。
本当に第三者的な評価をするのであれば、これを排除しないとならないわけですね。
医療者側からのこうした提起は、所謂「かばいあい」への疑念を抱く患者側の信頼を得ることにもなると思います。

ところで、私はリンクの間違いかと思い、両方にコメントしてしまった非医療者です。
最初は結果を知らない方を、次に結果がわかってる方にコメントしましたが、両方、「不適切」とコメントしました。
やはり血液検査くらいはしてリスクを確認すべきという判断からでした。
by 非医療者 (2008-01-21 20:34) 

防衛医療隊

自覚症状が強くない人、問診にうまく答えられない人、他覚的所見が乏しい人などなど、重症者にもたくさんいます。医師も過労でアタマが回らないときもあるでしょう。ですから、組織として、救急受診者には、何がどうであれ、かならずここまでは検査をする というマニュアルをしっかり立てておくのが、(受けてしまった)地雷を回避するために、組織ができる、ただ一つの対応でしょう。一種の危機管理です。その結果、カルテがつみ上がったらどうするか? 役所と同じ、淡々と、何時間待ってもらっても、マニュアルとおりの検査と診療を続けていくだけです。いつかはアサがやってきますし。
by 防衛医療隊 (2008-01-21 21:18) 

kinmuiです。

適切とも 不適切とも 言いにくい と書きました。
いっそ 二回投票して 一方を 適切に 他方を 不適切に すべきだったかな くらいです。

そこが 難民収容所でも USAでもなく、検査も出来ない診療所でもなく、

技師さんの当直もいれば 患者も健康保険証も持っていて、検査は容易にできる環境なので 可能ならば 検査をすべきであろうな と考えて、
十分ではなく、必ずしも適切ではない とは思いましたが
それが =不適切か というと よくわかりませんでした。

100点満点ではない = 落第か? というようなものでないでしょうか。

65点とか70点くらいかな と思うのですが、それを 適切か 不適切か という二分法は よくわからないのです。このような問題設定自体がおかしい ということでしょうね。
医療というのは 基本的に そうしたものだと思います。
誰が見ても 間違った行為は そりゃあるでしょうけど、
殆どの場合は 間違いではないが ベストとも言えなかった ということで 問題にされているような気がします。
by kinmuiです。 (2008-01-21 21:53) 

元なんちゃって救急医

診療関連死を議論していくとき、どこかで線引きをしなければならない。

定義をひとつ定めるごとに、かならずそこにグレーゾーンが発生する。
永遠のいたちごっこである。

ならば、線引きラインは、どこかで妥協して、n数を増やすことで、個々のグレーな悩みを丸め、全体像として判断の総体みたいなものを可視化し、それをひとつの判断材料にする

そんなイメージを私は持っています。現場の医師の協力を得てn数を増やすためには、ITが必須だと思うのです。

今回のエントリーは、そのトライアルでした。
by 元なんちゃって救急医 (2008-01-21 22:06) 

moto

上の「非医療者」様のコメントを読んで思ったのですが、一般のひとにおいては、「後知恵バイアス」ってのは、意外と無いのかもしれないですね。
(もちろん、アンケートで確認してみないとわかりませんが)

一般のひとにとっては、医学的なことは、ほとんどわかりませんから、結果がわからない状態においては、「ちゃんと検査して治してくれ!」、結果がわかって虫垂炎穿孔だと、「ちゃんと検査して正しく診断しろ!」という欲求しか、アンケートには反映されないのかもしれません。(逆に、寛容なひとは寛容なままで、結果によってぶれない)

むしろ、医者の側に、結果がわかったあとでは、正診出来なかったことへの「寛容バイアス」がかかるので、相対的に、患者(一般のひと)の態度が厳しく感じられ、それを「後知恵バイアス」として観測しているのかもしれないという気がしてきました。
by moto (2008-01-21 22:46) 

4年目救急医

私は結果を知っての回答になりました。
結果を知る前までは不適切と感じていましたが、結果を知って適切と考えました。その理由は結果が虫垂炎だったからです。虫垂炎の診療としては非常に適切といえないまでも不適切とは言えないと思います。しかしもしこれが子宮外妊娠であれば結果を知った後であったとしても不適切だと答えたと思います。適切かどうかについてはそれぞれ念頭に置く疾患によっても異なると思います。もし、自分が研修医のバックアップをしているときに、このような対応であった場合には駄目だしをすると思いますが、それは子宮外妊娠を否定できていないからであって虫垂炎の確定診断もしくは否定をしっかりとしなかったからではありません。
虫垂炎を否定するために、若者のはっきりとしない腹痛すべてに採血をすべきかという質問に置き換えてみればそれは必ずしも正しくないと思います。
うまく表現できませんが、それぞれ念頭に置く疾患の検査前確率を考慮して、その地雷性を考慮して、どこまで検査をするのかが医師の仕事です。
この場合医師の仕事して手落ちがなかったかどうかと言われるとなくもないと思いますが、それによって患者さんに不利益を与えている訳ではない(子宮外妊娠の破裂でショック状態で来院したわけではない)ことを考慮すると医師の責任は内のではないかと考えます。

私のような考えをする人が他にもいるとすると、医師だからといって必ずしも逆の後付バイアスがかかるわけではないのではと思います。
by 4年目救急医 (2008-01-21 23:03) 

physician

私は結果を知らない群です。
不適切としましたが、恥ずかしながら、間違っていました。
妊娠のr/oが不十分と考えてその旨回答しました(不適切とするには、ちょっと弱かったのですけど)。
腹部はやはり検査をする、翌日の検査を指示するのがリスク管理には必要ですね。
by physician (2008-01-21 23:15) 

moto

(続き)
上で、結果がわかったあとで「寛容バイアス」がかかる、と書きましたが、結果がわからない場合に「警戒バイアス」がかかって厳しくなる、とも考えられます。

両者の違いは、医師の診察への評価として、結果がわかったあとでの評価を正しいと考えるのか、結果がわからない状態での評価を正しいと考えるか、です。

「正しい」と書くと、また語弊がありますね。どちらを基準として見ているかの問題であって、どちらかが正しいとか誤っているとかといった問題ではありません。
by moto (2008-01-21 23:25) 

HDs.

私は結果を知って適切としました。
もしこの結果が子宮外妊娠でしたら、恐らく不適切としたと思います。
全体の意見もそうなる気もします(個人的な考えですが)。

>私のような考えをする人が他にもいるとすると、医師だからといって必ずしも逆の後付バイアスがかかるわけではないのではと思います。

4年目救急医さまは、こう書かれていますが、
これは逆に結果の病気がなにかによって、適切・不適切が変わるのならばやはり後付バイアスがかかると思いました。
by HDs. (2008-01-22 00:05) 

Hekichin

非医療者様
>やはり血液検査くらいはしてリスクを確認すべきという判断
血液検査は万能ではなく、逆にドツボに嵌るきっかけにもなります。
例えば、この症例で血液検査を施行したところ

白血球数 8800(標準値4000-8000)
CRP 1.0(標準値0.02(施設により変わります)

と出てしまった場合、とりあえず「う~ん、ちょっと上がってるけど大丈夫かな?」ってことで帰宅させると思います。
で、設問のような結果になったら、血液検査解釈をめぐり、非難されることも覚悟しなければなりません。

結局、標準的な時間外診療で求められる水準は
「この人は帰せるか、帰せないか」
「翌日の外来まで大丈夫か」
というもので、このケースはどちらも満たしていると考えます。

しかし、それは医療サイドの考える標準であって、患者サイドの標準と乖離はしていると思います。その乖離を解消することは困難かとは思いますが、解消してもらえなければ、救急指定医療機関の撤退は続いていくことになるでしょう。
by Hekichin (2008-01-22 00:23) 

falcon171

自分は答えませんでしたが、なんとなく採血ぐらいはしようと思うだろうというところです。
大変興味深い結果をありがとうございました。

できましたら、第二弾として、今回の後付での「適切」派、「不適切」派の代表的コメントを一例づつ出していただいて(つまり裁判のように現行被告双方から鑑定人が一人づつしゃべっているような状況)、それを「非医療者(一般の方も法律家の方も)」の方に、民事レベルでの過失ありやなしや(賠償金を支払うべきか)、刑事レベルでの過失ありやなしや(業務上過失傷害罪でいいのかな? 不必要に重傷化させた)で判断していただく企画あればどういう結果が出るのか興味深いです。

またその後で、この表をみて(原告被告の出した一人づつの意見じゃなく世間一般の医師の意見が二つに割れているのをみて)その方たちがどう感じるかにも興味あります。

私の意見は、「(医療に限らず)専門家間で当否がまっぷたつに割れるような行為は、民事としても刑事としても、過失じゃない」です。
by falcon171 (2008-01-22 00:50) 

WA

非医療者です。
回答しようかと思ってクリックまではしたのですが、所詮は非医療者なので「WBC22000、CRP28」の意味が分からず回答をあきらめました。(設問自体は結果を示された方が示されました)
回答はしませんでしたが、「入院期間が長めになってしまった」との表記から命に別状なし、後遺症もなしと考えて、まあ適当の範疇じゃないかなと考えました。これが、もっと死亡とか重大な結果になったという結果を示されたら、適当の範囲に入ると考えたかどうか…。
もっと重大な結果(死亡事例)を示されていたら、結果を示したかどうかによる適、不適の数が逆になったということは無いのでしょうか?
#まさにこれこそが後知恵バイアスなのではないかとも思うのですが…。
#本来は、プロセスの適否のみを判断すべきなのに、
#結果が良ければ、適の方向に、悪ければ不適の方向に、
#その判断が影響をうけてしまうということなのではないのでしょうか?
by WA (2008-01-22 02:30) 

はしもとがく。

非医療者です。
問いまで拝見し、結果を知る方の問いが表示されましたが、
WAさん同様、「自分には評価不能」と判断して回答しませんでした。
ただし、受診時に「虫垂炎の可能性は伝えられて」おり、
患者はその時点でその判断を受け入れて帰宅したわけですから、
改めて虫垂炎だからといってクレームをつける方がやや弱いかな、
とは思いました。その場で「不安だから検査して!」とわめいていたら、
医師はなんらかの対応をされたのではないでしょうか。

個人的には、後知恵バイアスの存在も興味深い結果でしたが、
それ以前に、専門の方々でもこれだけ意見がわかれるんだ、
という点が、とても重要な意味を持つ実験結果だったと思います。

質問2の回答は、差し支えない範囲でぜひ公開していただきたいと
思います。たぶん感覚的にしか理解できないのだと思いますが、
それを素人がどう評価し納得するか(しないか)を考えないと
いけないので。
by はしもとがく。 (2008-01-22 09:55) 

はしもとがく。

追記。
自分のコメントを読み返して思ったのですが、
診療行為も、一方的に医師が患者に行うもの、では必ずしも無い以上、
患者側の態度はどうだったか、も含めて総合的に評価をしなければ
いけないのだろうと思います。患者が意識的なリアクションが
不可能な場合を除いて。

その点を、何らかの評価の場において、「医師が」評価をすることが
よいのかどうか、説得力を持つかどうか、というのは、
考えなければならないかもしれません。
by はしもとがく。 (2008-01-22 10:02) 

moto

非医療者の方むけに、設問をつくってみました。
-----
女の子がいます。山を越えたむこうにあるおばあさんの家まで、パンを届けなければいけません。パンは3つあります。山には悪い狼が住んでいて、どこかで待ち伏せていて、パンを取り上げて食べてしまいます。

道が分かれる手前に売店があって、地図を売っていました。これまで、どの道に狼がよく出たか、が記されています。この地図を見ると、狼に出会う確率は少なくなります。しかし、代金として売店のひとに、パンを1個差し出さなくてはなりません。
売店には、猟師のひとが休んでいました。猟師にアドバイスをしてもらうと、狼に出会う確率は、さらに少なくなります。しかし、お礼にパンを1個あげなければなりません。

パターン1) 女の子は売店の地図を買うか、買わないか、猟師のアドバイスを求めるか求めないか、選択をしなければなりません。あなたが女の子だったら、どうしますか?

パターン2) 女の子は地図もアドバイスも求めずに、パンを3つ持っておばあさんのところに行こうとしました。結果、狼に出会って、パンを全部取られてしまいました。女の子は地図やアドバイスを求めるべきだったでしょうか?
-----
by moto (2008-01-22 10:22) 

元なんちゃって救急医

たくさんのコメントをありがとうございます。

コメントの公開には、特段の反対意見が見られず、
公開希望のご意見もあるようです。

何らかの形で公開するとういう方向で考えようと思います。
by 元なんちゃって救急医 (2008-01-22 10:22) 

moto

続き)おっと、大事なこと書き落としていました。
-----
パターン2)で、女の子が求めなかった地図も、猟師のアドバイスも、結果的には正しい情報でした。女の子がこのどちらかを求めていれば、狼には出会わずにすんだのです。
-----
これ加えておかなければ、「後知恵」にならないですね。
by moto (2008-01-22 10:39) 

デック

非常に面白い症例 アンケートをありがとうございました。

最後まで、どうしても、blogの流れから
「訴訟」のリスクが頭からぬぐえませんでした。

そうなると、
 結果が悪かった 
という 一言で 
あ、これは 何をどうおこなったとしても 
 文句を言おうとする人にとっては不適切と考えてしまうのかな
とも考えてしまいました。

患者さんからの希望は「全てやってください」 なんでしょうけれど
なかには侵襲的なものもあるし時間のかかるものもある

100%の適切って
結局 喪の作業 なんでしょうね。。。
宗教が無い 日本ならではの 悩みでしょう
by デック (2008-01-22 11:22) 

tomopons

Hekichinさんと同意見です。採血もCT撮るかどうかもこの患者の場合、同じレベルだと思います。そのとき軽症と判断される患者にどこまで検査をするかどうか。考えられる疾患の可能性を考えてフォローアップをしっかりすればよいことだと思います。むやみにスクリーニング検査をするのはいかがかと思います。虫垂炎を考慮して採血して炎症反応をチェックするのはいいと思いますが、採血ぐらいしておこうか、というのは賛成しがたいです。採血項目はなにを取るのですか?余計な検査なのか、必要な検査なのか。
by tomopons (2008-01-22 11:23) 

うなぎ

非医療者です。 motoさんの問題に答えます。地図も買ってアドバイスも受けます。石橋を叩き壊して渡れない性格なので。でもおばあさんが毎日パンを2個ずつ食べないとだんだん弱って死んでしまうとなると、3日目ぐらいには自分の判断で行くかも。
by うなぎ (2008-01-22 14:13) 

安達太良

結果ありで、適切、と回答しました。
現役整形外科医としては、もう、これ以上ない、「完璧な対応」としか思えません。

さて、最近MLで知ったのですが、研修医指定病院の指導医は、
「数年後独りで当直するようになったら、自分の専門外の夜間救急は断れ!診療拒否の病院の一職員と、刑事被告と、どっちが良いか考えればわかるだろう!」と指導しているようです。

私は、悲しいけど、それがいいと思います。

医師は医療行為における全てのことに、免責(刑事罰を受けない!)。
これを確実にしていただけないと、何もできなくなります。
by 安達太良 (2008-01-22 15:35) 

こたろう

私もこの救急担当医の対応が100点満点とは思いません。
しかし、一般の救急外来デ初診時の対応のレベルとしては十分かと
思います。妊娠についての確認が甘いのは確かに…と思い
ますが、ブスコパンで改善する程度の心窩部痛が主訴ですし、
私もこの方に妊娠反応をその場で勧めはしなかったのでは
ないかと思います。…と言うか、私がこの救急担当医だったら
ちょうど同じ対応をしたかと思います。

救急の混み具合、患者の症状にもよりますが、これで合格ではない
としたら、半数以上の夜間救急が合格出来ないなら、何割の
救急診療が合格出来るでしょうかね?
by こたろう (2008-01-22 17:25) 

こたろう

ちょっと文章がヘンで申し訳ありません。
最後書き直したら、前に書いた文章と混ざってしまいました。

書き直すほどの事でもないので、言いたいことをなんとなく
感じて頂ければと思います^^;
by こたろう (2008-01-22 17:28) 

ハッスル

一地方で救急対応を行っている(元?)外科医です。

”結果を知らない群”で”適切”としました。

虫垂炎も数える気がなくなるくらいに15年診てきましたが、今でも正確な振り分けに自信ありません。というより、個々の症例については最終的にはっきりする(治るか治らないか)まで、永遠に自信がつくことはないということをこれまでの経験から知りました。
自分の診た段階がいつかですべてが決まる(正診率を上げようと思えば、なるべく後に診る>>検査を駆使する)ということに尽きます。
結果的に診察時点で診断しない(結論つけない)=偽陽性(入院までしてなにごともなく退院する)を許容する

多少僕ならこうするか、と思うことは付加しました。
しかし、そういう意見も利用する側の意思によって、どうにでも解釈できますから。

”頭いい”といわれて、喜ぶ人と怒る人の違いは、言う側より言われる側の問題なので・・・(関係ないですか)

当ブログバイアスは大きく影響ありますね(笑)。
by ハッスル (2008-01-22 18:07) 

Med_Law

不適切・適切の判定基準を『適切性の判断は、時間外診療レベルとして平均的であるかどうかを基準でお考え下さい。』としたところで、結果発生前と、結果発生時とで、適切=過失なし、不適切=過失あり、と読み変えるにはギャップがあります。

百点満点の診療なんて出来る訳ないし、しかも時間外の軽症

本来、85点で合格するはずと思っていて(=過失責任は発生しない)、90点でなければ不合格(=過失責任あり)だったと後で言われては困ります。

結果判明前に不適切とした方には、診療精度を高めたいという努力目標から少し離れているという人がいることでしょう。

もう一つは、医療とは医師の診療行為だけでことが完結する訳でなく、患者の訴えや受診行動にも大いに影響されるので、自己責任で服用したブスコパン内服で朝まで大丈夫だった虫垂炎穿孔に、それほど同情を寄せる必要はあるのでしょうか?

日本のトンデモ医療裁判は、患者は医療行為に無能力であって、判断能力もなければ解決能力もなく、改善努力さえ要求されていないように見受けられることで、いわゆる『信頼の原則』を完全に無視した過剰な保護を医療側に要求しているように思えます。

朝まで痛くないと判断した素人判断をどうして重視しないのだろう?
医師の指導は適切にしているし、無駄な検査は無駄だという感覚があって当然だと思います。

賠償責任にいたる過失責任(=予見可能性を前提とした危険回避義務違反)という点で議論すると、予見可能性がなかった(非常に疾患の可能性が低かった)で、賠償責任を認めるべきではない事例だと思います。

結果判明後に不適切を判定した人は『過失がない場合であっても、100点満点ではないということであれば和解による解決も考えられる。』という藤山判事のトンデモ判決レベルの結論(http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2007/01/juge_1e70.html)を導くかもしれないことをキモに命じるべきでしょう
by Med_Law (2008-01-22 19:30) 

元なんちゃって救急医

質問2で皆様にご回答いただいた生の声をアップしました。
表内のデータをクリックしてください。PDFファイルにリンクします。
by 元なんちゃって救急医 (2008-01-22 20:39) 

くらいふたーん

私は結果を知っている群で適切としたのですが。

皆様のコメントを拝見して 結果知っている群の非適切とした方のコメントに
最低××はしておくべきだった とかJBM的にはとか エクスキューズ的なコメントが目立つように思いました。
確かに結果を知っていると 適切か非適切かと言う点より コメントの仕方が特徴的になるようで興味深く思えました。
by くらいふたーん (2008-01-22 23:10) 

moto

すごく、単純なことに気がついてしまいました。

「結果を知らない」で「不適切」と答えた26人が挙げた病名に、「虫垂炎」が含まれないひとが12人います。
このひとたちは、結果が虫垂炎だとわかったとしたら、「適切」に移った可能性高いです。
すると、35→47、24→14となり、カイ二乗検定での有意差はなくなります。

ですから、この設問は、単純に、「このようなケースにおいて、虫垂炎を疑う医者の率は20%くらいである」ということを示しているだけかもしれませんね。
by moto (2008-01-22 23:30) 

moto

訂正。
「このようなケースにおいて、虫垂炎を疑う医者の率は20%くらいである」→「このようなケースにおいて、虫垂炎を疑って採血をしておくべき、と考える医者の率は20%くらいである」
by moto (2008-01-22 23:33) 

moto

今回の調査で、いちばん良かった点は、非医療者のほとんどが、「自分には評価できない。わからない。」として、評価に加わらなかったことだと思います。
これが正しい態度です。
しかし、人間は、一定の率で、おかしなひとが、混ざってくる。
事故調に加わる、非医療者のひとというのは、そういう、「おかしな人」から抽出されてくるということではなかろうか?そこが問題なのかも。
社会的地位のあるなしにかかわらず、事故調のメンバーとして参加してください、と言われて、「はい、いいですよ」という人は、平均的な日本の非医療者を代表していない、ということです。
by moto (2008-01-23 06:24) 

こたろう

採血をして、役にたつかどうかもsりますね。
一説では虫垂炎の初診時、

WBC 感度88% 特異度53%
CRP 感度48% 特異度57%(完全に役に立たない)

というものもあります。患者さんのベースラインが分からず、
WBC 9000~10000等の結果であれば、新たな情報を
与えるどころか、悩みが増すだけです。

腹部CTの被爆量は以前調べた時、胸部X線(単純)の
500倍、というのがありました。色々な条件で被爆量など
いくらでも変わりますが、若い女性に施行するのは結構
勇気がいりますね。

それと、虫垂炎のCTの読影って、そんなに易しくないですよ。
最近ようやく分かってきましたが、外科医ですら見落とす事も
あります。ひとりで判断するのは、それなりにプレッシャーです。
撮って見逃す方が問題になりそうですよね。

超音波をさらっと当てて、「虫垂描出せず」とカルテに書けば
医者側としては防衛になったんですかね?
でもねぇ、下着ずらしてエコーあてて、診断出来なければ
申し訳ないですしね。
by こたろう (2008-01-23 07:27) 

santa

事故調はともかく裁判員制度は始まることですから「知識がないから判断不能」というのは許されない人もこれから出てきます。逆にいえば、「知識がないから判断したくない」を許すと、裁判員になる人は知識なんかあってもなくても勝手に判断する人と専門家だけになってやっぱりバランスを欠くでしょう。

限定された知識と情報の範囲でどの程度判断できるかを事前に知るためには、「裁判員に説明するつもりの資料」で同じような調査を非医療者向けにやってみるといいのかもしれません。もっとも、このblogの読者の非医療者が一般市民を代表しているとも思えませんから、サンプリングは難しいと思いますが。
by santa (2008-01-23 07:48) 

6年目内科医

私は結果を知らない群で適切としました。

私だったら妊娠反応検査ぐらいはしたかなと思いましたが不適切とまではいえないような気がしたからです。私は現在は院生で,非常勤で二次救急を見ている身分ですが,やはり腹痛症例には悩まされます。
自分の腹部エコー技術に自信がないこともあるのですが,尿路や胆道系の疾患以外ではエコーだけで陰性を否定しがたいので,腹腔内が見たいと思った症例は腎機能,妊娠反応検査をみてほぼ全例造影CTを施行してしまっています。正直,過剰検査かなと思うこともしばしばで罪悪感に駆られることもあります。

今回の結果のPDFを見せていただいて,腹部エコー(と単純写真)まではしてもよかったのでは,という意見も割りと見かけましたが,実際皆さんどうしていらっしゃるんでしょうか。(自分だったらエコーまでしてしまえば,逆に所見なくてもCTなしで帰宅させるのは怖いです...)当直状況にもよると思うのですが,教えていただければ幸いです。
by 6年目内科医 (2008-01-23 10:23) 

moto

わたしは、結果がわからなくて「不適切」で、「血液検査・エコーなど非侵襲的検査はしておくべき」と答えましたが、CTは、わたしだったら、この時点ではとりません。
なんでかっていうと、防衛医療的発想になりますが、CTは、画像があとに残りますでしょう?情報も多い。あとから見直したら、「ここにほんの小さなフリーエアが」とか「腸管の肥厚が、壁内気腫が」ってことありうるじゃないですか。どうも、腎梗塞がくさい、とか、虫垂炎疑わしいから糞石や虫垂のあたり確認しときたい、といった明確な目標がある場合にだけCTへ進むと思います。
CT読影に自信あるひとなら、どんどん撮ればいいと思いますが、撮ったけど見落とした、としたら、撮らなかった、より罪が重い、っていうか、言い訳できないんじゃないでしょうか。
by moto (2008-01-23 10:55) 

tmr

非常に興味深い設問と考察をありがとうございました。

急激に発症した腹痛で、救急外来にお世話になった事があります。
その経験から、結果を知らない群で不適切にしました。

会議が終わった21時、横っ腹を押さえ冷や汗を流して、椅子からずり落ちた私を、当時の上司が病院に連れて行ってくれました。今から10年ぐらい前になります。
当時私は26歳の女性で、
担当医は先ず妊娠の可能性の有無を尋ね、尿検査はされなかったけれど、
直ぐに採血と腹部単純Xpを取られました。
腹部の聴診もされたと思います。

担当してくださった先生は、消化器内科が専門の方でした。
結果は腸が動いておらずガスが詰まっていただけ。
先生は画像を指して、なれない会議にストレスを感じて、空気嚥下症をおこしたのだろう、とおっしゃいました。
もちろん血液検査の結果には異常はありませんでした。

結果を目に見える形で見せてくださった先生の診察に、私は非常に安心しました。
原因がストレスであったことも大きいのでしょうか、
それだけで、痛みが軽減したような気がしました。

私はその担当医の診察に、払ったお金以上の安心を得ました。
もちろん先生には、心からのお礼と、お手を煩わせたお詫びの言葉を述べました。

救急のコンビニ受診が問題になっていますが、
急激な症状に不安でならない、という患者の気持ちをやわらげることも、
医療だと思います。


今回取り上げられた症例の女性のことを考えてみました。
彼女は、それが良い事か悪い事かはさておき、
出来れば救急外来は受診せずに自分で対応しようとして、ブスコパンを内服した。
それで安心できれば彼女は夜中に救急受診をしようとは思わなかったでしょう。
彼女が普段夜遅く出歩いている人ならともかく、そうでないならば、
夜中の1:30、独歩で来院というのも、彼女の不安を示しているような気がします。

私も医療機関にお世話になっている身ですが、待ち時間の長さは、理解できるから仕方がないもの認識しておりますが、それもあって病院に行く事は、予約があっても億劫なものです。
病院にいく事が大好き、という人は、少ないと思います。

それでも病院で、いつもの先生に、「変わりありませんよ」と言ってもらい、いつもの薬を貰うと安心し、来て良かった、先生有難うと思います。

あんまりな例で申し訳ないですけれど、芸能人でもない私は、美容院だって出来れば行きたくない。でも自分じゃどうしようもないぐらい髪がフリーダムになってきたら、仕方ないから専門家の手を借りよう、と予約をとり、その日は3~4時間担当美容師さん方のお手を煩わせ、ああ、行ってよかったと感謝の気持ちを持って帰宅する。

何でもかんでも受診は、病院側、そして本当に救急を必要とされている患者さんにとって大迷惑なので、大いに問題にしなくてはならないと思いますが、
救急外来は、いざと言う時、翌朝までの安心を貰うところであって欲しいと願うのは、患者の自分勝手な妄想でなければいいなあと思います。
by tmr (2008-01-23 20:18) 

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。