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地雷の中の地雷 [救急医療]

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最近は、一般の方々からも多くコメントをいただくようになってきた。 マスコミ報道の問題、診療関連死法案という政治的な問題、死生観という個人的・倫理哲学的な問題などを話題に取り上げたことが影響しているのだろうとは思う。しかしながら、このブログの目指すところとしては、時間外診療や救急初期診療という診療環境の場で、日夜働いてる主として若手の医師の方々に、診療上に役立つ情報を少しでも届けたいということだ。日々、そう思っている。

本日のエントリーは、最近少し自分でも遠ざかり気味かなあと思っていた純医学的なエントリーとしてみたい。そういうわけで、今回は、少し専門的な内容が登場するかもしれないが、どうかお許しを願いたい。

一口に病気といっても、それには、それぞれ重症度がある。だから、地雷疾患も、それなりに重症度があるのだ。まあ、そういうことを意識して、次の症例を考えてみよう。

53歳 男性  胸痛

元来健康。数日前から、安静時胸痛を自覚するようになった。時に冷や汗も伴うとのこと。そんな患者がある総合病院の内科初診外来を受診した。たまたまその日の、初診外来は、神経内科部長のK先生だった。この病院のルールとして、部長クラスが初診外来を持ち周りするようになっていたからだ。

K先生は、カルテに簡単に「安静時胸痛、時に冷や汗あり。来院時、症状なし、心電図異常なし」とだけ書き、患者を帰宅させた。 この病院の初診外来は、忙しい。半端な数ではない。そういう診療状況を考えれば、K先生の対応は、責められるべきものではないのかもしれない。 しかし、これから述べる出来事を知ってしまえば、「もしあのとき・・していれば、きっと・・・・だったはずだ」という構文で、K先生を批判したくなるかもしれない。それも後知恵バイアスの一つであるとここでは言っておく。

さて、この患者は、K先生の診察を受けたその日の晩に再来した。 
午後8時に、救急車で救急外来を受診したのだ。

帰宅後の午後7時30頃に、突然強い胸痛が出現し、発汗多量、顔面蒼白状態になり、妻がたまらず救急車を要請したのだった。

患者が到着した。胸痛持続。血圧80台。発汗多量。誰もが一見してわかるただならぬ状況だった。明らかな心原性ショックだ。

本日朝の初診外来時での心電図は、確かに異常はなかった。
救急車到着後、直ちにとられた心電図は次の通り。
※心電図は、胸痛診療のコツと落とし穴 P110 左主幹部急性心筋梗塞の早期診断のために 門田一繁 光藤和明(倉敷中央病院) の記載から引用させていただきました。


これを見た当直だったT医師は、つぶやいた。
地雷の中の地雷かもしれない・・・・・・

とにかく大至急、循環器当直医に電話で一報を入れた。そして、T医師はこんなプレゼンをした。
「53歳男性、胸痛で只今来院。血圧は80台のショック状態です。
心電図にて、右脚ブロックパターンで、        の所見を認めます。」

それを聞いた循環器医師は、大慌てですっとんできた。
そして、緊急の冠動脈造影検査の段取りが進められた。

T医師は、心電図から何を感じて、あんな呟きをしたのだろう。
そして、どんなプレゼンをしたのだろう。
(1月23日記 続きは後日)


(1月24日 追記)
たくさんのコメントありがとうございます。今回のエントリー趣旨とは離れますが、いち救急医先生が大変重要なことをご指摘くださっていますので、その部分を引用させていただきます。ありがとうございました。

安静時というのと冷や汗というキーワードがありますから、来院時に心電図に変化が無くても、リスクファクター次第ですが、不安定狭心症を疑う必要があります。
(中略)
原因不明の胸痛は家に基本帰さない。この簡単な原則だけで、マニアックな心電図など読めなくても、かなり安全に外来を管理できるようになると思っています。

循環器を専門としていない医師が、時間外診療の場において、AMIという地雷を踏まないための大変重要な診療スタンスだと思います。 私もだいぶ前にこんなことを書いています。あわせてご参考下さい。→初回検査異常なし≠緊急性なし 

さて、本題です。これは皆様のご指摘の通り、左冠動脈主幹部(LMT:Left main trunk)病変の急性心筋梗塞症例でした。急性心筋梗塞の中でも最重症です。なぜでしょうか? 非医療者の読者のために説明します。心筋梗塞とは、冠状動脈が急に閉塞して、心臓の筋肉に急に血が行かなくなり、さまざまな状況を引き起こす病気です。ですので、血管の閉塞により影響をうける範囲が広ければ広いほど、厳しい状況になることは容易に理解できます。次に、冠状動脈の解剖学的走行を理解しておく必要があります。下図上段のように、冠状動脈は、右冠状動脈と左冠状動脈があります。さらに、左冠状動脈は、左前下行枝と左回旋枝の2本に分かれます。だから、我々が病状説明する際には、「心臓を養う血管には、3本あって・・・・云々」とするのです。今度は、下図下段を御覧下さい。左冠状動脈の根元部分の拡大写真です。2本の左冠状動脈は、その根元で一本になっているのです。その根元部分を左冠動脈主幹部(LMT:Left main trunk)といいます。

さて、ここが閉塞したらどうなるでしょう? そうです。LADとLCXの2本分同時に閉塞したのと同じ意味なります。つまり、実に広範囲な心筋に影響します。だから、LMTを責任病変とする心筋梗塞は、最重症の心筋梗塞に位置づけられるのです。 地雷の中の地雷といえる所以はそこにあります。


(元写真は、http://blog.goo.ne.jp/yamane34/e/5a887987201b31611eabf5ccf4a27f52 を使わせていただきました。ありがとうございます。)

T医師はこんなプレゼンをした。
「53歳男性、胸痛で只今来院。血圧は80台のショック状態です。
心電図にて、右脚ブロックパターンで、aVRST上昇の所見を認めます。」
T医師は、「LMTかもしれない・・・・・・・・」と呟いた。

直ちに緊急冠動脈造影検査が施行された。
最初の造影画像が映し出された。カテ室に緊張が走った。予感は的中した。左主幹部(LMT)の完全閉塞だった。いろいろと手をつくしたが、患者は死亡した。左主幹部急性心筋梗塞恐るべしである。

普段、我々が心筋梗塞患者の心電図をみるとき、ST上昇部位と梗塞部位を連想して考えるのだが、その中に、aVRはあまり表立って出てこないものだ。

しかしながら、この症例のようにaVRのST上昇は、この恐ろしい左主幹部心筋梗塞を疑う手掛りを与えてくれるということは、非循環器医師でも知っておいて損はなかろうというのが、今回のエントリーの主旨である。

調べてみると確かにいろいろと書いてある。例えば、日常診療のよろずお助けQ&A上級編P107にも明記してある。それによると、aVRのST上昇所見のLMT病変に関する感度と得意度は、それぞれ78%、86%とある。また、別の論文では、感度と得意度を、それぞれ80%、92.3%と報告している。

さらには、いつもするどいお話をするmedtoolz先生もしっかりと指摘しておられる。
⇒ aVR誘導のST上昇はLMTの可能性がある  ・・・さすがである。

http://www.lifescience.co.jp/cr/zadankai/0708/2.htmにも大変有用なことが書いてあったのでリンクを張っておく。特に、最後の部分は、ここでも引用する。

それこそ心電図で,たとえば aVRが上がっている,あるいは II,III,aVF,前胸部誘導の広範囲で ST が下がっている。そういう LMT や,本当に重症な 3 枝病変を疑わせるようなものを見落とさない。それらは,ある意味では STEMI よりも緊急でやらなければいけない場合があるわけで,そういったもののリスクの層別化をしっかりしなければいけません。 (注 STEMI:ST上昇型心筋梗塞)   

まとめます。

本日の教訓
心筋梗塞患者 aVR ST上昇をみたら、LMT警戒せよ

ここまで書いていたら、NYAO先生が、実に大事なことをコメントしてくださいました。

心電図所見はLMTらしいと思いますが本来心電図だけで責任病変決めるのは無理です。

おっしゃるとおりです。心電図診断の限界も私達は合わせて意識しておかねばなりません。私達は、知識も仕入れつつ、つねに限界も忘れない。そういうバランス感覚が、いけてる臨床判断につながるものだと思います


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コメント 26

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moto

「四肢誘導」で「左軸変位」の所見かな?
完全右脚ブロック+左軸変位→二枝ブロック。
Ⅱ、Ⅲおよび胸部誘導でST低下だから左主幹梗塞、で、二枝ブロック生じてるとすれば、すぐにでも、完全房室ブロックに移行しかねないですよね。
どうでしょうか?
by moto (2008-01-23 16:38) 

moto

しかし、この一年ほど、ここのブログ読み始めて刺激を受けて、BLS,
ACLS,JATECと受講して、ずいぶんためになりました。このあいだ、PALSも受講してきました。
それまでは、欝で厭世的、プチ整形という現実逃避的な世界にずーっとこもってたんですが。
あとは、脳卒中のISLSうけて、それから、産科救急のALSO,これは日本にはないんで、オーストラリアまでいって受けてこようかと思います。英語に自信がないんですが、先日のPALSは、text・筆記試験とも英語で、なんなくこなせたようだし、ちょっと本気で今年は行こうかしらん。
そのあと、学習の成果を、どう生かすかが、わたしの場合、とても大きな課題ではあるんですけどね・・なんといっても、もう48歳だし、経営とか考えると、プチ整形続けてたほうが、どこをどう考えても、メリット大きいから。
何かのかたちで生かしたいですけどね。
社会への還元ではなく、自分自身のより充実した人生のために。(社会への還元は40歳前までに十二分に済ませたので)
by moto (2008-01-23 17:22) 

koba

「(四肢誘導)に(tomb stone=giant R)の所見を認めます。」はどうでしょうか?
・前壁起源なら:右脚ブロックのため胸部誘導でははっきりしませんが。前壁MI+下壁誘導はreciprocal changeなのかもしれません。V1がV2~6に比べR波の立ち上がりが遅れてますし。
・後壁起源なら:後壁(Ⅰ,aVL,-aVF,aVR)でST上昇ですし、後壁起源のほうが疑わしいかもしれません…。後壁梗塞、大動脈基部解離、バルサルバ洞破裂などでもありえるかもしれません。

p.s.昨年にこちらのブログに出会って、大変刺激を受けました。これからもよろしくお願いいたします。
by koba (2008-01-23 17:47) 

捨てネコ

シロウトです。(^^;
クイズのつもりで・・・。

心電図から感じたもの:大動脈解離
所見:腹部に虚血の所見

素人なので無視してください。m(_ _)m
by 捨てネコ (2008-01-23 18:26) 

素人

LMT?
by 素人 (2008-01-23 18:38) 

よしだ

右脚ブロックパターンで、(aVR)に(ST上昇)の所見を認めます。

LMTのUAPでしょうか?
解離でタンポとかも考えられるけど痛みかたのエピソードからは冠動脈っぽい雰囲気がします。
by よしだ (2008-01-23 23:12) 

僻地外科医

 まあ、解離を疑ってるなら悠長に冠動脈造影をするはずもないので、それは却下ですね。

 正直そこまで心電図読めないですが、地雷中の地雷となると元々右冠動脈虚血あり->LMT急性閉塞の3枝病変かな。II、III、aVFのST変化が大きいですので下壁梗塞はありそうですが、かつ胸部誘導すべてでST変化あり(右脚ブロックあるので断言出来ないですけど)LADとCxの閉塞(つまりLMTの急性閉塞)も疑われます。
 いつ心臓止まってもおかしくないという奴じゃないでしょうか?
by 僻地外科医 (2008-01-24 00:43) 

CML

よしださんと同様

(aVR)に(ST上昇)→LMTのACS

と思います。
もしくは2枝閉塞+最後の1枝のACSでしょうか。

広範囲の深いST低下+aVRのST上昇の心電図は、診る方も冷や汗もんです。
by CML (2008-01-24 00:55) 

4年目救急医

久々の純医学的内容でなんだかほっとしています。
間違っているかもしれませんが、
aVRのST上昇でLMTに1票です。
いつVTになってもおかしくないと思います。
私ならすぐに循環器内科医をコールして
DCパッドはずっと張ったままにします。
by 4年目救急医 (2008-01-24 00:59) 

4年目救急医

続けて申し訳ないのですが、確かaVRのST上昇は
LMTの心筋梗塞に感度はそれほど高くないですが、
特異度は90%を超えていたはずと思います。
by 4年目救急医 (2008-01-24 01:02) 

koba

2度目の投稿申し訳ないです。
(aVR)に(ST上昇)→LMTのACS
なるほど!aVRはV6とほぼミラーですし。ACSのaVR 誘導のST 低下は予後が悪いとは聞いたことあったのですが。上昇は知りませんでした。
初めは、ECGから後~上壁?の急性期ACS?と不思議な印象でしたが、
LMT閉塞で、前壁+心尖+後壁の虚血、特に心尖部を中心とした広範囲の虚血では、後上方(aVR)方向へ心臓全体で見た障害電流の向きがaVR陽性になる?のでしょうか・・・(実際の病態生理は分かりません。推測です。)
失礼しました。
by koba (2008-01-24 01:53) 

くらいふたーん

あえて心電図にはふれずに・・・

地雷中の地雷 初診時心電図異常なし そしてAMIとくれば
それだけで重症三枝病変を思い浮かべます。
いけない考え方ですが 現場では使えます。
胸痛ありで心電図異常なしパターンの初診では
常にこれが頭をよぎるのでドキドキしますね。
by くらいふたーん (2008-01-24 08:14) 

さか

やっぱりaVRのST上昇と広範囲ST低下等よりLMTかな
後壁のミラーだとショックには成りにくいような
by さか (2008-01-24 08:22) 

1年目研修医

4・5月に循環器ローテ終了し、以来ごっついECG見る事は少なかったです。
今回は、「AMIっぽいけど正確にはなんだこれ?」ですが、循内に「やばいので来てください」とPHSかけるレベルかなあ、とは思いました。
by 1年目研修医 (2008-01-24 09:36) 

いち救急医

>数日前から、安静時胸痛を自覚。時に冷や汗も伴う。
安静時というのと冷や汗というキーワードがありますから、
来院時に心電図に変化が無くても、
リスクファクター次第ですが、
不安定狭心症を疑う必要があります。

私の初期研修を受けた病院では、
必ずコンサルトしなくてはいけない疾患の中に、
原因不明の胸痛 というものがありました。

自分であれば、せめて数時間は経過観察しますし、
高率に入院させることが多いです。

レジデントがこのようなカルテを書いてきたときは、
入院させるか、循環器コンサルトするか、
冷や汗と安静時の記載を消すか、
どれかするように指導しています。

私が現在勤務している病院でも、
しばしば若い内科医が、カルテを丁寧に記載し、
造影CTを含めワークアップした上で、
帰宅させた上で、致死的胸部疾患でリターンしてくることがあります。

原因不明の胸痛は家に基本帰さない。
この簡単な原則だけで、マニアックな心電図など読めなくても、
かなり安全に外来を管理できるようになると思っています。
by いち救急医 (2008-01-24 12:15) 

NYAO(循環器)

 『数日以内に発症した』『冷汗を伴う』安静時胸痛なので比較的典型的な不安定狭心症の症状です。不安定狭心症なのに労作時に胸痛のない人結構います。大動脈疾患なら解離より切迫破裂の方があるかな?
 安静時心電図で狭心症は除外不可能ですからMSCTなど安静で冠動脈評価を行うかそのまま心カテする必要があります。(負荷心電図はAMI誘発する可能性がありやりにくい)
 胸痛とともにショックになっているのでLMTまたはそれに準じるAMIと考えていいと思います。LMTは冠動脈分布の個人差、側副血行の影響などで心電図変化は様々です。この心電図だとQRS開いちゃってるのでほとんど余裕はありません。とりあえずエコーあてながら(解離ならタンポナーデがあるのでわかる)IABP(PCPS)用意、時間があれば胸部レントゲン(カテするなら透視で大動脈確認)で解離の除外、心カテ→PCIでしょうね。発症30分でこの心電図だと助からない可能性が高いでしょうね・・・
 こういうのを循環器以外の方が診た場合どこまで要求されるのか・・・
by NYAO(循環器) (2008-01-24 13:30) 

masa

私も非医療者なんですが、先生のこれまでのブログ(胸痛、心原性ショック、循環器の先生は冠動脈の造影を指示、心電図のaVRにのみST上昇=これは他の先生のコメント)と地雷表からみると、冠動脈左主幹部心筋梗塞(専門用語理解できてません)だと思いました。
で、これからよくわからないのは、初診のK先生に何ができたのでしょうか。
帰さずに、一定時間おきに心電図をとり続ける。もしくは、初診の時点で循環器の先生にコンサルトする。
by masa (2008-01-24 14:32) 

山口(産婦人科)

夫(一応循環器内科)に見せてみましたが、あまり煮え切った返事を返してくれませんでした。右脚ブロックは間違いないそうですが、心筋梗塞を疑うものの、大動脈緊急も一応考えに入れてみた方がいいかなあ・・・という程度で。ただ、初診時の安静位胸痛+冷や汗なら、そのまま直通で循環器内科に送る手だと思うといっていました。
by 山口(産婦人科) (2008-01-24 16:34) 

moto

うーん、この心電図で左主幹梗塞(LMT)は疑いようがない、と思ったんですが・・それ自体は地雷ですが、「QRS開いちゃってる」っていうのは、完全右脚ブロックっていう意味ですよね?「地雷中の地雷」だから、LMTで、なおかつ、伝導障害きたしている、それも一束ではなく二束ブロックだから、左室がむちゃくちゃ緊急です、ってことだと思ったのですが・・
LMTでも、脚ブロックおこしてないのもありえますでしょう?側副路かなんかで、プルキンエ線維の血管栄養は保たれていて。
しかし、「」に「」の所見、は、たしかに「aVR」に「ST上昇」のほうが、文章としてきれいだなあ。
by moto (2008-01-24 16:47) 

moto

続き)「梗塞は疑いようがない」っていうのは、ミラーイメージも含めて、ST上昇(低下)のかたちが、いかにも心筋梗塞っぽい曲線、ってところからなんですが、どうでしょうか?・・それで、Ⅱ・Ⅲ・aVFの低下と、Ⅰ・aVR・aVLの上昇ってところで、左主幹と考えました。
突っ込みところ、というか、勘違いしてる点ありましたら、ご指摘ください。よろしくお願いします。
あと、左主幹だと、速攻、開胸バイパス手術のほうが確実でいい、って話もあると思うのですが、最近はPCIが多いのでしょうか?
by moto (2008-01-24 16:59) 

NYAO

 問題文の『』内はaVRとST上昇でいいと思います。心電図所見はLMTらしいと思いますが本来心電図だけで責任病変決めるのは無理です。こういう場合の心電図所見は正確に読む必要はなくてカテが必要かどうかがわかれば十分かな?と。どうせ造影は必要だし。
 極端なQRS幅の延長は(脚ブロック自体もそうですが)広範囲の心筋障害もあらわします(QRS 5mm以上ありそうですね)。心筋梗塞で新たに出現する脚ブロックは予後不良のサインですし。30分程度の虚血でここまで変化するのならほとんど側副血行がない状態で右冠動脈もあまり大きくないのだと思います。大動脈疾患も否定したいけどCTまでとってる余裕はないかなというのが心電図を見た感想です。
  LMTのAMIは完全閉塞だったら開胸バイパスよりPCIのほうが再開通までの時間が早く(カテしないとバイパスもできないし)優先されると思います。最初にIABPかPCPS入れて血行動態が安定すればバイパスすることもあると思いますが。
by NYAO (2008-01-24 20:37) 

moto

ありがとうございます。ほんとに、ここは、ためになるブログ+コメント欄ですね。
by moto (2008-01-24 21:37) 

5年目整形外科医

いつも勉強になる症例をありがとうございます。整形外科では心電図を読む機会は少ないですが、当直などのときに読むことがあります。また、やはり「左肩痛」には敏感です。わき道にそれますが、このような患者さんがいました。70台の女性で、肩関節周囲炎で月に1回程度、関節注射をされる方です。1ヶ月ぶりに診ると、痛み方がひどいということでした。よく聞くと、胃も痛いし気分が悪いとのこと。すぐに心電図をとり、かかりつけの循環器の先生に診てもらいました。いろいろと検査もしていただき、虚血性心疾患も否定していただきました。その後、最近、要介護から要支援になり、訴えが急に増えたという、意外な背景がありました。地雷を踏まないように気をつけながらも、全人的な診かたも必要だなと思った症例でした。ちなみに、今も元気に注射を打ちに来られます。
by 5年目整形外科医 (2008-01-24 22:17) 

moto

たしか、似たエントリーが昔あったはずだ、と思って探したら、ありました。「目を惑わす心電図」
http://blog.so-net.ne.jp/case-report-by-ERP/20071003
このときのエントリーで、わたしは、「ST低下をみたらミラーイメージのSTEMIを疑え」というのを覚えたのでした。
なるほど、循環器の先生が怒ったはずだわ。
by moto (2008-01-24 22:54) 

masa

本日の「解説」、非医療者にもよく理解できます。ありがとうございます。

「若手の医師の方々に、診療上に役立つ情報を少しでも届けたいということだ」に、別業界のものですが大いに共感します。失敗から学ぶ、地雷から学ぶことで、明日の患者さんを死なさずにすむのでしょう。

で、ご多忙の先生たちにお願いするのは酷だということは百も承知なのですが、このブログを英訳して世界からアクセスできるようにならないか、と思いました(各国の国民性や求める医療水準、医療費の水準にもおおいに関係することでしょうけれど)。

ありがとうございました。
by masa (2008-01-25 09:47) 

swan

つい、先日。これとほぼ同じ症例をみました。
持続する胸背部痛で近医整形外科で腰椎圧迫骨折の診断をされた
ばーさんですが、一向に改善しないので別の病院の内科にかかって
心電図をとったらすぐに大病院に行きなさいとなって受診されました。
胸部誘導広範のST低下とaVRのST上昇。
LMT99%のuAPだったそうです。既に心不全を合併していたから
そのまま放置していたら確実に亡くなっていたと思われます。
今は事なきを得て、元気にリハビリをしていますが。

いつもこのブログは読んでて勉強になります。
by swan (2008-01-26 14:10) 

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