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2年前の今日を思う [医療記事]

 

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2年前の今日、2006年2月18日、世界的にも類をみない出来事がありました。 患者のために通常の医療行為をしていた医師が逮捕されたという出来事です。そして、福島地検は、不起訴にはせず起訴しました。そのため、現在も刑事裁判が続けられています。

その逮捕に先立つこと約8ヶ月前の報道記事を挙げておきます。

医師、減給1カ月 帝王切開でミス、患者死亡 県立大野病院 /福島県
2005.06.17 東京地方版/福島 27頁 福島中会 (全557字) 

 県立大野病院(大熊町)で昨年12月に帝王切開手術を受けた20代の女性患者が、医療ミスにより死亡した事故で、県は16日、手術を担当した産婦人科医(30代)に減給(10分の1)1カ月、監督責任のある院長(60代)に戒告の懲戒処分を行った。県の減給処分は程度によって1カ月~3カ月ある。1カ月にとどめた理由について、県は「他県などで起きた同種の医療事故の処分から横並びで判断した。患者が亡くなるという重大な結果を招いたが、医学的にも難しいケースだったことを考慮した」(安齋博実・病院局理事)と説明している。遺族に対しては、損害賠償などにも誠実に応対したい、としている。
事故調査委員会(委員長=宗像正寛・県立三春病院診療部長=肩書は当時)の報告によると、事故が起きたのは12月17日。帝王切開で胎児を取り出したあと、胎盤が子宮から離れなかったため、「医師が手術用はさみで切り離した」ことが大量出血につながった。輸血しながら子宮ごと摘出する手術に切り替えたが、患者は死亡した。報告書は、子宮の筋肉が付着した胎盤をはさみで切り離そうとした医師の判断ミスとあわせて、「輸血対応の遅れ」「対応する医師の不足」などを挙げ、医療ミスを認めている。大野病院に勤務していた医師は当時12人。産婦人科医は、この手術を担当した医師1人だった。
朝日新聞社

当時、この報告書を元に、警察に逮捕されました。加藤先生の上司である佐藤教授は、そのことについて、日経メディカル誌の取材時に述べています。 その日経メディカルの記事を一部引用します。

患者の死亡後、県の医療事故調査委員会が設置され、当大学出身者以外も含め、3人の医師による報告書が2005年3月にまとめられた。今回の逮捕・起訴の発端が、この報告書だ。県の意向が反映されたと推測されるが、「○○すればよかった」など、「ミスがあった」と受け取られかねない記載があった。私はこれを見たとき、訂正を求めたが、県からは「こう書かないと賠償金は出ない」との答えだった裁判に発展するのを嫌ったのか、示談で済ませたいという意向がうかがえた。私は、争うなら争い、法廷の場で真実を明らかにすべきだと訴えたが、受け入れられなかった。さすがにこの時、「逮捕」という言葉は頭になかったが、強く主張していれば、今のような事態にならなかったかもしれないと悔やんでいる。加藤医師は、報告書がまとまった後に、県による行政処分(減給処分)を受けた。

 警察は、この報告書を見て動き出したわけだ。最近、医療事故では患者側から積極的に警察に働きかけるケースもあると聞いているが、私が聞いた範囲では患者側が特段働きかけたわけでもないようだ。警察による捜査のやり方には問題を感じている。例えば、当該患者の子宮組織を大学から持ち出し、改めて病理検査を行っているが、その組織も検査結果もわれわれにフィードバックされないままだ。捜査の過程で鑑定も行っているが、担当したのは実際に癒着胎盤の症例を多く取り扱った経験のある医師ではない。

 加藤医師は数回、警察から事情を聞かれ、その都度、私は報告は受けていた。最後に彼が警察に出向いたのが昨年2月で、そのときにそのまま逮捕されてしまった。弁護士を付けずに、1人で行かせたことを後悔している。翌3月に、業務上過失致死罪と異状死の届け出義務違反で起訴された。

私のブログ上で、何度も何度も言ってる「後知恵バイアス」の認知の問題が、しっかりこの報告書の中にもあるようです。この部分です。

「○○すればよかった」など、「ミスがあった」と受け取られかねない記載があった。

日本全国の多くの医師の心をおったこの出来事は、今の医療が抱える問題の一部には、確実に影響していることでしょう。

加藤先生の無罪を心から信じています。


コメント(31)  トラックバック(7) 
共通テーマ:日記・雑感

コメント 31

コメントの受付は締め切りました
HDsurgery

私も福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ支援します。
by HDsurgery (2008-02-18 09:04) 

エビ

私も無罪を心より信じ、支援を続けていきます。

被告となられた先生に、光が射しますように。
by エビ (2008-02-18 09:18) 

しろふくろう

>「ミスがあった」と受け取られかねない記載があった。私はこれを見たとき、訂正を求めたが、県からは「こう書かないと賠償金は出ない」との答えだった。裁判に発展するのを嫌ったのか、示談で済ませたいという意向がうかがえた。

被害患者家族が入っていない調査委員会でさえこのような誘導がなされるのであれば、厚生労働省管轄下で医療事故被害者が委員として参加するよう内容の現在設立進行形の事故調では、医療行政の失政によるシステムの欠陥に踏み込むことはなく、被害者感情に「配慮」されるような調査報告になる可能性があり、公平な調査機関とは言い難いように思われます。

このままでは医師の患者、行政、司法に対する不信が強まるばかりです。福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じます。
by しろふくろう (2008-02-18 09:22) 

kudaya

私は福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ、支援します。

この事例を踏まえると、強制労働省が主導する医療事故調なるものができても、結果的に、刑事事件の取調べと同じことになるので、弁護士同席・自分に不利になりうることは一切言わない・状況によっては完全黙秘 ですね。
by kudaya (2008-02-18 10:00) 

くらいふたーん

私も 福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無実を確信し、そして裁判での無罪を信じそして祈っています。
by くらいふたーん (2008-02-18 10:29) 

ミヤテツ

私も 福島大野病院事件で逮捕されたのk先生の無実・無罪を信じます。
by ミヤテツ (2008-02-18 11:25) 

元脳神経外科専門医

私も福島大野病院事件で逮捕された医師の無罪を信じ、支援します。
患者のためにも医療者のためにも今の医療に対するゆがんだ認知が改善されますように心から願っています。
by 元脳神経外科専門医 (2008-02-18 11:40) 

腎臓内科医

私も福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ支援します。
by 腎臓内科医 (2008-02-18 11:50) 

フィッシュ

分娩にたずさわっている限り、母体死亡・新生児死亡に遭遇する可能性が誰にもあります。この福島のような経緯で逮捕されるのであれば、日本から母体死亡が完全になくならない限り、産科の先生方は逮捕に怯えて仕事をしなければいけなくなるのでしょうか?
警察や検察の方、教えてください、周産期死亡をゼロにするための完璧な仕事の方法を・・・。産科で働く私たちが、犯罪者とならないために。

患者さんを失ったことで、どれだけ心の責めを負われたことでしょう。
加藤先生の無罪を信じます。そして、産科医として積み上げられてこられた知識と技術が再び生かされますように。
by フィッシュ (2008-02-18 13:09) 

なな

周産期医療の現場に、本来の明るさが戻る日を心待ちにしています。
by なな (2008-02-18 13:16) 

通行人

医療訴訟においては、「疑わしきは罰せず」という文言が通用しないのですね。
by 通行人 (2008-02-18 13:41) 

bamboo

このエントリの趣旨に賛同し、被告の一日も早い無罪判決を望みます。
by bamboo (2008-02-18 14:03) 

hide

私も賛同します。
by hide (2008-02-18 14:18) 

一般人です

私には、無罪を信じると言うだけの判断能力がありません。

しかし、多くの医療関係者が、思いこみでなく経過を熟慮したうえで、罪は無いと明言されているのを見れば、そうであろうと想像します。

なんちゃって救急医さんのように、件が、不当な逮捕であったと理解、確信できる立場にある多くの人たちが、声を上げたと言うことに関しては何と言えばいいのか、、納得というか、うれしいというかです。
別の件(裁判とかでなく)などでも、なんで、お医者さん自身がもっと声をあげるということをしないのかって、勝手ですが思ってました。

ですから、裁判の結果が、多くの医療者たちの確信と一致することを心から願います。

でなければ、どちらかを信用できなくなるということになりますから。
by 一般人です (2008-02-18 15:06) 

moto

わたしも賛同します。
by moto (2008-02-18 15:18) 

rinzaru

私も福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ、支援します。
by rinzaru (2008-02-18 15:42) 

NYAO

私も福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ支援します。
by NYAO (2008-02-18 16:48) 

山口(産婦人科)

私は福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ支援します。

 この事件がネットの世界に足を踏み入れるきっかけとなりました。そして、マスコミからの情報だけではあっさりミスリードされかねないことを痛感しました。いまや玉石混淆とはいえ、ネット情報の方が正確な内容を伝えることが多いのを感じます。

 今検討中の「医療安全調査委員会」でもこのような後出しじゃんけん報告が多発しそうです。そうならないために何が必要かを、議員たちに訴えていかねばなりません。
by 山口(産婦人科) (2008-02-18 16:48) 

ハッスル

私は福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ支援します

ただし、政治決断(C型肝炎以上に)がない限り、裁判が継続されそうな現状を懸念します。
by ハッスル (2008-02-18 17:07) 

麻酔科医

私も福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ、支援します。
by 麻酔科医 (2008-02-18 18:21) 

うろうろドクター

私も、福島大野病院事件で逮捕された
産婦人科医の無罪を確信し、応援します。

日本の医療を守るためにも、
今のままでの「医療事故調査委員会」の創設を
何とか食い止めましょう。
by うろうろドクター (2008-02-18 18:33) 

風はば

私も、福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ、支援致します。
by 風はば (2008-02-18 19:25) 

GO AHEAD

私も福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ、支援します。
by GO AHEAD (2008-02-18 19:32) 

Dr. I

私も福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ支援します。

大淀病院でも、院長など医師がミスを認めたから、こういう風になった。
って問題もあるんですよね、実は。
そこらへんも、もっと大きく取り上げるべきなんでしょうね。
by Dr. I (2008-02-18 19:45) 

503

私も福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ、支援します。
by 503 (2008-02-18 23:32) 

sui

私も福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ、支援します。
by sui (2008-02-19 00:06) 

ken

私も福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ、支援します。
by ken (2008-02-19 00:37) 

アイスゆず

私も、賛同します。
by アイスゆず (2008-02-19 00:46) 

cafe owner

以下を考え、まだ思案中です。すみません。

■問われる知識ある者の倫理
知識に関わる者は高度の倫理を求められる。これもまた、知識ある者たちにとっては意外なことである。彼らは、自らの客観性と科学性に誇りをもってきた。善たるべき者の鑑と自負してきた。

しかし、知識に力が伴っていなかった時代においては完全なものだった私人としての善意も、力をもつ集団の一員としての倫理性とは関わりがない。むしろ、当を得たものではない。今日、知識ある者が置かれている位置は、マネジメントに関わる倫理を経営者個人の問題としてとらえていた十九世紀の経営者のそれと同じである。
力をもつ集団にとっては、いかに純粋な信条、いかに正しい動機といえども、はなはだ不道徳となりうる。

1976年、ニューヨークの何人かの医師が、末期ガンの患者の同意なしにある注射をし、州法に違反しただけでなく、医師としての倫理を逸脱したときも、彼ら医師は訴追されたことに驚いた。

彼らは、いかなる個人的利益を得ていないと弁じた。無用の苦しみをなくすうえで必要な知識を得ようとしただけだった。彼らを批判することさえ、犯罪的ともいうべき間違いだとした。批判は医学上の観点からのみなされるべきであって、それができるのは医学界のものだけであるとした。

確かに知識に関わる倫理は、専門分野の同僚によって判断され、律せられなけらばならない。あらゆる職業において倫理は自己規律によって律するべきである。しかし、本人たちが問題に取り組まず、あるいはいまだよく目にするように問題の存在さえ認めないならば、ほかならぬ社会が、ニューヨークの医師を罰したように問題に取りくむことになる。
なぜならば、力には倫理がつきまとうからである。動機が何であれ、詐欺は詐欺である。
多額の金が漂っているところでは、策士に対し身を固めておかなければならない。
もし知識に関わる者たち自身がこれを行わないならば、社会がこれを行う。個人的な利益を得ていないからといって、倫理は免責とならない。
  - THE ESSENTIAL DRUCKER ON SOCIETY -
                           BY PETER F.DRUCKER 
by cafe owner (2008-02-19 18:49) 

釣り好き内科医

>cafe ownerさん

本件の議論に対し、示されたドラッカーさんの文章を持ってくるのは、あさっての方向を向いていると思います。

当該医師の行った処置は違法なものではなく、医学的に妥当なものなのですよ。また、倫理に外れた行動などは一切行っていません。むしろ、放置すれば母子共に死亡は必至の前置胎盤に対し、置かれた医療資源において最大限の準備をした上で、帝王切開に望み、全力を尽くしたことは、公表された経過を見れば明らかです。

医療界における取り組み、問題意識をご存じないとしたら、あまりに勉強不足です。医師のブログ(優れたものが沢山あります)や小松秀樹氏の著作などを読まれてはいかがですか。
by 釣り好き内科医 (2008-02-20 10:21) 

koba

私も福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ支援します。
by koba (2008-02-20 10:39) 

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