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悩ましい若い女性の下腹部痛 [救急医療]

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過去のエントリーで、こんな話をした。 悩ましい若い女性の上腹部痛

そこで、本日は、下腹部痛の症例を提示する。

一般に、若い女性の腹痛の場合は、男性の場合に比べて、考えることが増えるので大変だ。 それは、婦人科疾患か否かいう視点が増えるということだ。 

実際例でいくつか提示すると・・・・

月経困難症(婦人科疾患)だと思ったのに、実は急性虫垂炎だった(外科疾患)。
PID(婦人科疾患)だと思ったのに、実は、急性腸炎だった(内科疾患)。
急性虫垂炎だと思ったのに、実は、卵巣出血だった(婦人科疾患)。
尿路結石だと思ったのに、実は、子宮外妊娠だった(婦人科疾患)。

まあ、こんな感じである。個人個人の症例レベルは、まさに千差万別。
それ故に、教科書どおり診断が進まないことも多々ある。

そのことを知らない人が、気安く、あるいは悪気なくとも「誤診」という言葉を使ってしまう。誤診という言葉には、そういう私達医療者の苦悩に対する微塵の配慮も感じさせない冷たい言葉であると私は思う。多くの人が、「誤診」という言葉に慎重であってほしいと思う。

なぜ、私がそう思うのか? それは、以下の理由による。

そもそも、私達の診断プロセスは、確率的であるからだ。
参考エントリー:診断とは確率にすぎない
これは、ある時点で、どんなにベストの判断を行ったとしても、事後から見れば、診断が外れていたという出来事は避けられないということを意味する。つまり、診断過程における医療の不確実性そのものなのだ。

だから、ある意味、我々の診断プロセスは、黒ひげ危機一髪ゲームと同じことといえるのではないかと思う。もし、黒ひげの首が飛んだとき、それは、「誤診」として医療者が裁かれるときと想像してもらいたい。そう考えてもらうことで、我々の気持ちが少しは伝わるのではないだろうか?ちなみに、これが黒ひげ危機一髪ゲームである。 → シュミレーション 

そうは言うものの、私達医療者は、患者のよりよい転帰を目指し、日々苦悩の毎日である。世間の風は、何かにつけて私達医師-患者関係を破壊しようとするが、患者側が、医療の不確実性に理解を示してくれると、現場の医師-患者関係は上手くいくことが多くなるであろう。


ということで、そろそろ、今回の症例。

<診察の場について>
あなたは、とある急性期病院の救急外来で外来患者の対応をしている状況。なお、消化器外科医、産婦人科医、消化器内科医などの各専門家には、コンサルトは可能である。エコー(腹、心)は自前でやる。 CT(造影も)は全身可能。MRは不可能。そのような設定である。

31歳 女性  下腹部痛

当院初診。妊娠出産歴なし。既往疾患に特記すべきことなし。普段の月経はやや不順。最終月経は、10日前。昼食時に焼き飯と惣菜を食べてから、次第に下腹部痛が増強してきた。自宅で様子をみていたが、買い物から帰ってきた母親が、娘の様子をみて、救急車を呼んだほうがいいと判断し、16時頃、救急車で当院へ搬送された。自宅で、4,5回の嘔吐有り。下痢はない。最終排便は昨日で普通便。本人、母親ともに昼食があたったようだと訴えている。

バイタルサイン BP 105/72 HR 63整 KT 36.1 RR 14 SpO2 99
腹部  平坦、軟。手術痕なし。正中下腹~左下腹にかけて圧痛(+)であるも、リバウンド(-) 他、特記すべき身体所見なし。 
検尿 妊娠反応(-) 潜血(-)ケトン(±) 蛋白(-) WBC(±)
末梢血・生化  WBC 6100 CRP 0.1 他特記すべきことなし。
胸腹部 レントゲン  特記すべき所見なし。

腹痛は、来院してから1時間後(ボルタレン座薬25mgを入れて30分後)の時点で、十分に自制内の状況である。

さて、時間外の救急初期診療などでありがちな場面だと思います。

この時点で、確定診断を求めるわけではありません。 皆様方にお尋ねしたいことは、次の3点です。

Q1 頻度の軸からみたありそうな疾患 ベスト3
Q2 地雷の軸からみたマークしたい地雷疾患 ベスト3
Q3 次にやりたい一手
できれば、ご自身の専門などのバックグラウンドを差しさわりのない範囲で添えていただけるとなおわかりやすいかもしれませんが、そのあたりのご判断は各自におまかせしておきたいと思います。似たようなケースでの皆様方の苦労話も差しさわりのない範囲でお教えいただるとうれしく思います。

医療者の判断というものは、こんなにいろいろ考えないんといけないんだなあということ、だから診断って大変なんだなあということ・・・・多くの非医療者の方々に、私達のこんな苦労を感じてほしいというのがブログ主の今回の狙いです。

では、よろしくお願いします。 (5月21日 記)


(5月24日 追記)
皆様、コメントありがとうございました。22名の方のご意見を集計してみました。A.>B>Cの場合、Aを3点、Bを2点、Cを1点として、A,B,Cと併記の場合は、A=B=C=2点として、集計しました。 さて、その結果です。

Q1  頻度の軸からみた鑑別 上位5疾患

急性腸炎  48
PID      16
虫垂炎   13
憩室炎    8
尿路結石  8


Q2  地雷の軸から見た鑑別 上位5疾患

卵巣腫瘍茎捻転  40
虫垂炎     24
子宮外妊娠   13
上腸管膜血栓症 9
卵巣出血      7

Q3 次の一手
ほぼ全員が、腹部エコー

22人という数としては少ないですが、はっきりと傾向が出ているようですね。私は、以前のエントリー:結果と考察-ネットで診療評価-で、診療の適切性を判断する際には、その診療の転帰そのものが、適切性の判断に統計的に優位に影響することを示しました。それをふまえて、このエントリー中で次のような提唱を行っています。

<提唱>
診療判断をする医師複数を、分野に応じて事前登録しておきます。そして、何がしかの事例が発生したら、誘拐事件が起きたときにメディアが報道自主規制をするのと同じ倫理に基づいて、いっさい報道は行わずに、登録医師に有害事象の結果を知らせないままで検討し、複数の評価を集めます。そして、統計的に判断をくだします。

さて、今回の症例では、
たとえ痛みが自制内でも、
たとえ痛みが突然発症ではなくても、
たとえバイタルに異常がなくとも
たとえ採血データに異常がなくとも
たとえ本人や家族が、食あたりかもしれないと主張しても、

卵巣腫瘍茎捻転をまったく疑わない診療をして、急性腸炎としての対応のみ(投薬、患者説明などを含めた対応をさす)で、帰宅させるという診療は、救急初期診療としては、不十分なのかもしれません。Q2に対する皆様のコメントがそれを示唆しています。ですが、おそらく、そんな(不十分な)診療をしても、何も問題のないケースがほとんどでしょう。それは、疾患頻度として急性腸炎が圧倒的に高頻度だからです。悪い診療の結果というものは、いつもきちんとやるべきことはやった診療をしていてる誠実な医師であっても起きるときは起きるし、意外と、不十分な診療ばかりをつづけている医師には起こらなかったりします。確率とはそういうものです。

ちなみに、非医療者の方々のために・・・
卵巣腫瘍茎捻転とは、こんな病気です ⇒ こちら
一方、急性腸炎は、感染性や非感染性などありますが、救急外来で出会う患者の多くは前者。さらに、前者は、感染源によって、ウイルス性や細菌性などに分類されますが、一般に前者は軽症で自然軽快、後者は、前者に比べ重症感があることが多いです。今回の症例では、感染性腸炎だとしてもまだ発症初期であるため、ウイルス性、細菌性(毒素型も含む)のどちらかをすぐに鑑別することは不可能です。さしあたり経過を見ながら考えることになります。自然に治ればウイルス性でいいでしょう。一方、さらにひどくなるようであれば、便培養などを提出し、細菌性としていろいろ手を打ち始めていきます。

さて、長くなりました。症例の続きです。この患者を担当したのは、私一人でした。

私が最初に思ったこと
患者の解釈モデルにこちらが引っ張られてはいけない
ということ。

やたらと食事との関連性を訴えるので、私は患者とその母親にこう言いました。
女性の腹痛の場合には、食事とは関係なく緊急性の高い疾患があります。まず、それからチェックしていきましょう

病歴聴取の際に、そのように伝えて、妊娠反応、採血などの検査をだした後、皆様のご指摘どおり、型どおり、自分で腹エコーの手順にもっていきました。

そこで、「おやっ?」 です。 なにやら、左下腹部に大きな何かが見えました。10センチくらいありました。 その部分に一致して、圧痛もある。

「はあ~ん・・・なるほど・・・ これかああ・・・」

この段階で、私は、患者と家族に言いました。
どうも、卵巣が腫れているかもしれません。これが痛みの原因と即断するわけにはいきませんが、婦人科の先生には必ず診ていただかないといけない状況です。

で、私はこの時点で早々と、婦人科の先生にコンサルトしました。婦人科的診察の結果、卵巣のう腫があり、周囲に腹水もあるとのこと。卵巣腫瘍茎捻転を強く疑うため、直ちに手術が良いという結論になりました。

術中所見としては、左の卵管が紫色に変色し血行障害を示していたが、捻転を解除すると同時に血行も改善し色は回復したとのこと。卵巣腫瘍は切除され、後日の病理では良性の所見だったとのこと。合併症なく退院していきました。

ということで、今回の症例は、皆様も最も懸念した地雷:卵巣腫瘍茎捻転の一例でした。

今回の症例を腸炎としてあっさりと帰宅させるという対応をしてしまっていたら、後日、紛争となったかもしれませんね・・・・

それにしても、すごいなあ・・・・ さすが、専門の先生の眼だなあ・・・・と思ったコメント。スーザン先生のコメントでした。今回の症例は本当にその通りでした。

どーしてもこの症例が、卵巣腫瘍茎捻転に見えて仕方ありません。
他の疾患が考えられなくてすみません

深い専門を持たずに、手広く構えて、問題点の絞り込みまでを主たる日ごろの業としている私にとっては、到底到達し得ない感覚です。 初療医としては、そういう各専門家の先生がもつ専門分野の鋭い感覚もタイミングよく参考にしたいものです。どこまで自分で整理して、どこから専門家の先生に参画してもらうか?このあたりの分別にはそれなりの経験を要しますし、診療の場毎にも大きく異なります。ときに、診断がまだ確定していない救急初療の現場では、専門家の先生のもつ感覚は、時に諸刃の刃になりえるという認識も重要です。・ 参考エントリー:専門引き寄せ症候群

まとめます。

本日の教訓
卵巣腫瘍茎捻転 いつも激痛とは限らない

 


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コメント 36

コメントの受付は締め切りました
DYP (小児科:アレルギー・心療)

難しいですねぇ。

#Q1 急性腸炎>急性虫垂炎>婦人科疾患
#Q2 子宮外妊娠関連>卵巣腫瘍>虫垂炎
#Q3 外来でチャッチャっとエコー→CT→婦人科コンサルト(一手・・・・いや、三手?)


by DYP (小児科:アレルギー・心療) (2008-05-21 17:59) 

bosszaru21

Q1; 骨盤腹膜炎>急性腸炎>急性虫垂炎
Q2; 卵巣腫瘍捻転>上腸間膜動脈閉塞>急性膵炎
Q3; エコーかな。

当方、消化器外科医。専門外の疾患が上位にきてしまいますね。妊娠関係は否定されているものと考えます。
by bosszaru21 (2008-05-21 19:06) 

GYNE(婦人科)

#Q1 ウイルス性腸炎>骨盤腹膜炎(クラミジア)>卵巣嚢腫の茎捻転
#Q2 虫垂炎>急性腸間膜動脈閉塞症>胃癌
#Q3 内診・経膣超音波検査、クラミジアIgA/G、心電図

妊娠反応マイナスですので、妊娠関係は否定できるとおもいます。
尿糖なし、尿ケトンなしより、DKAは否定的でしょう。
婦人科疾患を内診・エコーでルールアウトして、あとは消化器疾患を考えようと思います。その後は、尿路系、血管系(解離)、あとはSAHなどでしょうか。
by GYNE(婦人科) (2008-05-21 20:59) 

moto

Q1; 急性腸炎>急性虫垂炎>骨盤腹膜炎
Q2; 卵巣のう腫茎捻>上腸間膜動脈閉塞(高安病による)>くも膜下出血(急性腸炎にたまたま合併)
Q3; エコーでしょうねえ・・だけどよくわからなくて、結局CTに出しそう。

内科ストレート研修2年→皮膚科16年(専門医)→美容外科開業5年。
by moto (2008-05-21 21:44) 

岡山の内科医

若い女性の下腹部痛は、救急で一番診たくない疾患群の一つです。

Q1:急性腸炎>骨盤腹膜炎>子宮附属器炎
Q2:卵巣嚢腫茎捻転>特発性S状結腸破裂>くも膜下出血
Q3:エコー→CT→婦人科コンサルト

子宮外妊娠などの妊娠関連疾患は、尿妊娠反応陰性から除外したい誘惑に現場では駆られますが(診たくないものを排除したいバイアス)、エコーしながら病歴をもう少し詳しく聞くと思います。
呼吸器系に少し詳しい一般内科医のたわ言とお思い下さい。
by 岡山の内科医 (2008-05-21 23:11) 

kinmui です。 内科医ですが 神経内科主体で。。

下痢がなく嘔吐反復で 下腹部痛が持続というのは 胃腸炎とは少々強いにくいのではないかと思いました。でも 頻度は高いでしょうかねえ。
左背部痛もあれば 血尿が出ていない段階の 左尿管結石なんかも 一応は考えるのかなあ、と思いましたが、女性なので、

Q1: 経過観察でよい病態(胃腸炎とは断定しにくいが、やはり急性胃腸炎 というしかないのか??)を除けば
 左卵巣病変(炎症かどうかは?で 卵巣茎捻転でしょうか)> サブイレウスを来す腸病変(虫垂炎>憩室炎)  って 答えになっていないか。

Q2: 卵巣茎捻転> 急性虫垂炎> サブイレウス 
腹痛、嘔吐で初発 イレウスで その後に 排尿障害、歩行障害が明らかになって、脊髄炎が原因だった患者さんはいましたが。。
卵巣出血とか 卵巣嚢腫破裂とか どれくらいあるんでしょうか。

Q3:エコー、CTになるでしょうか。

ところで 妊娠ですが 検査の偽陰性はあるものでしょうか? 外妊はあるのかなあ。。。

by kinmui です。 内科医ですが 神経内科主体で。。 (2008-05-22 00:32) 

もと産婦人科

Q1; 急性腸炎(食中毒)>卵巣腫瘍茎捻転>骨盤腹膜炎
Q2; 虫垂炎>尿管結石>子宮外妊娠(エコーで疑わしければもう一回妊娠反応チェック。最近不良品が数本あったので)
Q3; エコー、CT
by もと産婦人科 (2008-05-22 09:28) 

麻酔科医

診断についてはまったく自信がありません。麻酔科医の目というのは手術になる病気というバイアスがかかりますから。

Q1:急性腸炎>骨盤腹膜炎>子宮附属器の疾患(卵巣のう腫の茎捻転とか卵巣出血)
Q2:胃ガンの卵巣転移(出血)>SAH>尿膜管の感染
これは、インパクトなあった経験の順番。

Q3:エコー→CT→婦人科コンサルト


by 麻酔科医 (2008-05-22 09:55) 

なんちゃって放射線科医

Q1 急性胃腸炎、憩室炎、子宮附属器炎
Q2 卵巣腫瘍、子宮外妊娠、総腸骨動脈解離
Q3 超音波検査

放射線科医です。
疾患をそれぞれ3つだけにするのは、難しいです。地雷疾患などは肝外発育性肝臓がん、内ヘルニア、子宮筋腫、外性子宮内膜症、腹壁腫瘍などを考えます。
自分見た中では、40代の腹壁デスモイド、総腸骨動脈解離や20代大腸がんなどがありました。
自分ではCTの方がいろいろわかりやすいのですが、妊娠反応は妊娠初期など疑陽性あると思い、まずは超音波検査をしたいです。


by なんちゃって放射線科医 (2008-05-22 09:57) 

hagi(ER救急、後期研修医)

Q1; 急性胃腸炎>軽度な卵巣出血、排卵痛>尿路結石
Q2; 卵巣茎捻転>子宮外妊娠>急性虫垂炎
Q3; 腹部骨盤造影CT(もちろんエコーはスクリーニング程度に行うが、確定診断に至る確率は低い。)

頻度からいうと、除外診断的な急性胃腸炎が多いと思います。女性では排卵痛や経過を見るだけでいい卵巣出血などもよくあります。また病歴からは性交痛は考えにくい。下痢なく嘔吐頻回より、尿路結石も尿検査だけではなんとも言えない。頻度からいえば、この3つでしょうか。

やはり怖いのは茎捻転や外妊。これは比較的頻度の高い見逃せない疾患であるため、確実に否定したい。また虫垂炎は経過が様々であるので難しい。これら3つを見るために腹部骨盤造影CTでチェックしたい。

そして、特に大きな異常がなくても帰宅する前には、婦人科Dr.の診察を依頼すると思います。
これが診療所などでCTが不可であると「否定できない疾患」が多く、非常に悩ましい症例と思います。
by hagi(ER救急、後期研修医) (2008-05-22 10:03) 

NYAO

循環器内科の専門病院勤めなので基本初診のこういった患者さんは診てませんが・・・
Q1 急性胃炎、尿管結石、憩室炎
Q2 卵巣腫瘍(茎捻転)、虫垂炎、末梢動脈の解離
Q3 腹部エコー
外妊も否定はできないんでしょうけど・・・
腹部エコー実際は自分ではしませんが・・・
by NYAO (2008-05-22 10:15) 

ハッスル

Q1:不明のまま治る>虫垂炎>骨盤腹膜炎
Q2:卵巣腫瘍茎捻転>虫垂炎(ただし、地雷に至らないと思います)>卵巣出血
Q3:CT
エコーは術者の問題がありますので、第一義にはCTでやってます。撮りにくい環境であればエコー。敷居を低い環境(うち)では若年女性は早々に婦人科(のある病院)に紹介。

婦人科のない地方民間病院救急室医師(出自は外科)16年目。婦人科なし。

婦人科がらみで少女・50代の妊娠関連や右下腹部に無い虫垂、爪楊枝・魚骨、腫瘍など、色々見てきました。魚骨が腹壁に穿通して化膿したのもありますね。不思議なことはたくさんありすぎます。
爪楊枝や魚骨飲んだなんて患者申告はまずありません。

by ハッスル (2008-05-22 11:45) 

麻酔科医

>爪楊枝や魚骨飲んだなんて患者申告はまずありません。
毛ガニを誤嚥したというケースの経験があります。様子をみていたら、翌日無気肺になり全身麻酔下に硬性気管支鏡をいれたら、トゲトゲした毛ガニのハサミのかけらが気管支にはまっていました。


by 麻酔科医 (2008-05-22 13:38) 

島医者 現在、離島診療所で1人勤務

若い女性の腹痛はほんと、悩ましいですね。
苦労します。

Q1 
①急性胃腸炎 (下痢なく嘔吐ありということがひっかかりますが)
②卵巣出血・PID
③虫垂炎

Q2
①卵巣嚢腫茎捻転
②虫垂炎
③卵巣出血(出血量の多いケース)
でしょうか。

Q3やはり、自分でまずは経腹エコーをやって大きな卵巣腫瘍などないか確認します。


自分が研修医時代婦人科ローテ中に経験した症例で、
こんな例もありました。

40代 女性 下腹部痛(下腹部全体)救急車で来院
一般的評価・腹部CT施行後

まず、婦人科コンサルト⇒
婦人科的診察・経膣エコーで右卵巣腫瘍茎捻転(エコー・CTで右卵巣腫瘍10cm大指摘)疑いで産婦人科入院

入院後、念のため外科にもコンサルト⇒
腹部CT読影で軽度虫垂の腫大あり虫垂炎の疑いもあり


入院後、痛み増悪(徐々に右方が強くなる)あり、
深夜の救急手術施行となった

まず、産婦人科Drと右卵巣腫瘍摘出術
その後外科Drも加わり虫垂炎手術
                             となりました。

術中所見から卵巣腫瘍の捻転はなく、虫垂の炎症所見あり
腹痛の原因は虫垂炎であったと診断されました。

結果的には卵巣腫瘍があるPtでの虫垂炎の症例でした。
CTでのインパクトはずっと卵巣腫瘍が強いので惑わされないようにせねばなりませんね。



by 島医者 現在、離島診療所で1人勤務 (2008-05-22 15:26) 

b

下腹部からの痛みですか・・・

Q1 尿路結石、Fitz Hugh Curtis、
Q2 急性膵炎、卵巣茎捻転、動脈解離
Q3 婦人科か消化器に押し付けることができないか考える(笑)
   簡易血糖測定して、肝~骨盤CTにいくかなぁ。
by b (2008-05-22 17:24) 

クーデルムーデル

今回はコメント締め切りに間に合いました。小児科勤務医です。

下痢無くとも嘔吐で始まる胃腸炎は多いと思いますし、下痢がないと思っていてもエコーなどで腸管内は水様便であふれていることが判るといったことも経験しますよね。

Q1 急性胃腸炎>憩室炎>卵巣茎捻転
Q2 虫垂炎>イレウス>腫瘍見逃しという意味でなら卵巣腫瘍からの捻転も・・・
Q3 エコー、レントゲンによってはCTも考慮
by クーデルムーデル (2008-05-23 09:11) 

noobow

卒後20年目の小児科開業医です。
Q1 急性胃腸炎 食中毒 溶連菌感染症(扁桃や皮膚の所見のはっきりしない、嘔吐が初発症状の方が結構多いです。)
Q2 急性虫垂炎 卵巣茎捻転、卵巣出血などの婦人科疾患 腫瘍、アレルギー性紫斑病などに起因する腸重積
Q3 腹部エコー

自験例では、似たような経過で入院した中学生が、入院後に大量に下血して、内視鏡、血管造影などの検査で所見が得られなくて、試験開腹したところ、腸間膜動脈の動脈瘤破裂だったというCaseがありました。
by noobow (2008-05-23 11:28) 

Toro

Q1; 急性胃腸炎 > 子宮周囲炎 > 急性虫垂炎
Q2; 卵巣茎捻転 > 劇症1型糖尿病 > 急性虫垂炎
Q3; 腹部エコー
卒後15年目の消化器内科医です(あまりデキのよいほうではないと自認しております)。ここ5年間は研究主体であり、救急は一般病院や休日急患センターの当直ネーベンだけです。

自分としては、検尿に糖の項目がないのが気になります。
血糖値は如何でしたでしょうか?。



by Toro (2008-05-23 12:33) 

まど

初めてコメントさせていただきます。
消化器外科17年の後、開業2年目です

Q1:急性胃腸炎 > 憩室炎 > 子宮附属器炎
Q2:子宮外妊娠 > 急性虫垂炎> 下腸管膜動脈血栓
Q3:肛門診、腹部エコー

卵巣の茎捻転は腹部触診で見当がつく印象があります。
(私の経験上の印象にすぎません)
by まど (2008-05-23 13:14) 

olddr

Q1 骨盤腹膜炎 子宮付属器炎 急性虫垂炎
Q2 子宮外妊娠 腸間膜動脈塞栓症 卵巣茎捻転
Q3 腹部エコー CT
卒後21年目の元呼吸器内科医です
by olddr (2008-05-23 15:37) 

スーザン

わたくしは産婦人科医なのでどーしてもこの症例が、卵巣腫瘍茎捻転に見えて仕方ありません。
卵巣出血なら少しでも貧血傾向があると思うのです。
吐き気がくるほどの骨盤腹膜炎なら、CRPか白血球がもっと上昇すると思います。
ボルタレンで簡単に痛みが取れるところがすごくあやしい。(ここでたいていの患者はもう治ったから帰る、と言うのです)

卵巣腫瘍はたいてい腹部レントゲンには映りません。
エコーを当てるか、CTでしょう。

他の疾患が考えられなくてすみません。

by スーザン (2008-05-23 16:50) 

しろ

糖尿病内科医師です。

Q1 急性胃腸炎/胃痙攣>尿管結石症>急性膵炎
Q2 卵巣茎捻転>子宮外妊娠>動脈閉塞/解離
Q3 エコー/心電図/血糖測定

本当は虫垂炎や腹膜炎(クラミジア等)なども、結構な頻度で来られるので挙げたいところです。
CTはエコー(自分は放射線技師さんを待っている間にちゃっちゃとしちゃってます)とともに、本人に妊娠の可能性がないことを確認の上、施行。
by しろ (2008-05-23 23:12) 

+61

元は小児科医、今はオーストラリアでICU医です。
バイタルサインからすると少なくともsepticではないし、軽度のウィルス感染を除いて感染がらみの線は薄い気がします。でも、やっぱり虫垂炎を鑑別から外す勇気はないなぁ。血液・尿・胸腹部Xrayに特記すべきことがないのを考慮して、

Q1 便秘>急性腸炎>虫垂炎
Q2 子宮外妊娠>卵巣腫瘍茎捻転>腸間膜動脈血栓症などの虚血性腸炎
Q3 腹部超音波

女性の腹痛は小児科ですら嫌でした。4歳女児、準夜帯に父親が、「風呂に入れていたら、ゴルフボールのようなものを臍の辺りに触れた気がする」という主訴で来院されたことがあります。痛みなど自覚所見は全くなし。非常に時間をかけて触診しましたが何も触れず、父親にまで診察室で触ってもらいました。父親も「あれ~、何もないですね。夜間にすみません、気のせいかもしれません」と言って帰宅されました。1ヵ月後に今度は診療時間に来院されました。主訴が「野球ボール」になっていました。今度は視診でも隆起が分かりました。真っ青になりました。卵巣腫瘍でした。幸い良性できれいに外科的切除でき、ご両親も穏やかな方でした。


医学的判断の「確率性」については、どんなに医師が叫んでも一般の方に分かってもらうのは無理な気がします。「降水確率10%」の予報で雨が降ったら気象台にクレームを付ける人々に、医療の確率論を理解してもらうなんて絶望的です。
数学の各分野の中で確率・統計学は最も生活に密着したものだと私は思っていますが、学校では理系にしか教えられません。日本では経済学部に進むのにすら、確率・統計の履修を要求されないんです。でも、それを学校で必修化して教えることは、メディア・リテラシーを育てる第一歩になると思います。長文失礼しました。

by +61 (2008-05-23 23:51) 

なんちゃって救急医

この時点で、コメントを集計させていただきました。たくさんのコメントまことにありがとうございました。
by なんちゃって救急医 (2008-05-24 08:15) 

なんちゃって救急医

>koro 様 

コメントありがとございました。追ってお返事させていだきます。
by なんちゃって救急医 (2008-05-24 08:17) 

まど

茎捻転を起こすような卵巣腫瘍はある程度のサイズになっているので、触診で見当がつく…というような思いこみはいかんのですね。
確かに私の経験した患者さんは皆やせ形だったような…
この患者さん、体格はどの程度だったのでしょうか?

スーザン先生の、『ボルタレンで簡単に痛みが取れるところがすごくあやしい。(ここでたいていの患者はもう治ったから帰る、と言うのです)』というのにも驚きました。
ボルタレンが効く。考えもしませんでした。
というより、この患者さんに私だったらボルタレンを使うことはないと思います。
原因がまだ明らかでない腹痛患者にー私だったら、この時点では急性胃腸炎を念頭に置いているー使ってみるべきなのでしょうか?(禁忌ではないかという事ではなく、ある程度効果が期待できるのでしょうか、という意味です)
by まど (2008-05-24 13:46) 

なんちゃって救急医

>この患者さん、体格はどの程度だったのでしょうか?

極々平均の体型でした。
ボルタレンを使ってみたのは、なんでだったかな? 印象として腸炎系より婦人科系の香がしたかな?とりあえず、いっておこうかな・・・・。月経困難症かもしれないし・・・・ こんな心境だったと思います。(記憶不確か)

痛みに対して、アクションをすばやく行っておくことは、医師-患者関係の構築という意味においても有用だと私は考えていて、いつもTPOを自分なりに考え、痛み止めは使っています。
by なんちゃって救急医 (2008-05-24 13:55) 

Level3

>痛みに対して、アクションをすばやく行っておくことは、医師-患者関係の構築という意味においても有用だと私は考えていて、いつもTPOを自分なりに考え、痛み止めは使っています。

痛み止めの効き具合も診断していく上で一つのポイントになると思います.また,書かれていますように医師ー患者関係にも大事だと思います.
如何でしょうか?
by Level3 (2008-05-24 16:47) 

まど

なんちゃって救急医先生、Level3先生
コメント有り難うございます。
私も何らかの鎮痛処置は早めに行う方ですが、消化器疾患が真っ先にある時に、ボルタレンを使うというのが有効なのかなぁ、という疑問でした。
>腸炎系より婦人科系の香がしたかな?
という事であれば、納得です。

by まど (2008-05-24 17:13) 

koro

先生 申し訳ありませんでした
預かり制と思い 場違いな書き込みを 長々としてしまい
本当に 申し訳ありませんでした
何卒 削除の方を お願いします。
by koro (2008-05-24 20:52) 

なんちゃって救急医

>koro様

大変ありがたいコメントでしたが、削除のご要望に応じて削除させていただきました。
by なんちゃって救急医 (2008-05-24 20:59) 

通りすがり

>なんちゃって救急医様
>koro様

始めまして、医療従事者の真摯なコメントも含め、いつも楽しみに拝読しております。
今回のkoro様のコメントに胸が熱くなる思いをしました。家族に同様の経験があるものの一人として、koro様のコメントに共感いたしました。
とても良いお話ですし、医療従事者を力付けるコメントが削除されてしまったのは、残念な気がします。機会がありましたら、koro様の話をどこかで紹介して頂けたら、嬉しいです。
場違いなコメントで申し訳ございません。

by 通りすがり (2008-05-24 21:43) 

肉

私が医療関係者の方々のブログを見るようになったのは、おととし卵巣腫瘍の手術をしたからです。そのとき先生をはじめ病院の方々にすごくお世話になり、感謝感謝感謝だったからです。
私も腫瘍が3キロもあって、回転していたそうなんですが、まったく痛みがありませんでした。しいて言えば、なんか気持ち悪い感じがするときがあったと言う事です。それも、ごく「たまーに」です。
でも取れた後はすごくすっきりして気持ちよかったです。

入院したとき先生方が遅くまで仕事をされているのをはじめて知りました。
尊敬と感謝の気持ちでいっぱいです。
by 肉 (2008-05-25 14:13) 

koro

>なんちゃって救急医様
>通りすがり様

なんちゃって救急医先生 通りすがり様 ありがとうございます。
未熟で教えてもらう事のほうが多い中 あのつたない文が 誰かの心に届いているとは 思いもしませんでした。
驚いている反面 私の方が ありがたく思っています。


by koro (2008-05-25 20:33) 

スーザン

本文中でほめていただけるとは…なんだかすご~くうれしいです!

わたくしどもは、卵巣腫瘍茎捻転と決まったら、手術までの痛みを緩和するためにボルタレンなどを使用します。
子宮や卵巣関連の痛みに対しては、ソセゴンのような注射剤よりも座薬のようが効果的なのです。
(投与場所が近いから?)
ともかく、座薬を用いるとかなり動けるようになるので、術前検査でエックス線などとるのもやりやすく、ご本人も冷静に手術待ちができます
by スーザン (2008-05-26 13:10) 

マリコ

遅コメ失礼します。

私は、昔から病院にかかる頻度が他の人より高く、一般的にいう「体の弱い人」の部類です。

だからこそ思うのですが…
先生のように「慎重」に「あらゆる可能性を考えて」、「消去法」で「診断の確定」に至れば、更に「それ(確定に至る経緯を随時)」を患者や家族に「伝えて」いれば、たとえ違ったとしても「誤診」とは言われないと思うのです。

こちらは痛いのに、最初から決めつけて「たいしたことない」と言われたり、触診もせずに「精神的なものです」と言われたりするから、患者や家族が「誤診」だ「ヤブ医者」だと言い出すのだと思います。

今、私自信も「信頼できる」かかりつけ医を探している途中です。
先生のような医師が増えることを、心から望みます。

失礼いたしました。
by マリコ (2009-03-30 09:02) 

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