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DESC法ってご存知ですか? [救急医療]

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社会の中で暮らす以上、人との関わりを避けて通るわけにはいきません。そんな人の関わりの中で、相手の対応を不愉快に感じてしまうこと、相手を不愉快にさせてしまうことなどの経験は、多かれ少なかれ、誰でも経験することだと思います。人間関係の中における小さな摩擦です。

そして、こういう摩擦を、なんとなく自分の性格のせいにしてしまってる人もいるもけっこう多いかもしれません。

「俺って、引っ込み思案だから・・・・・」
「私って、怒りっぽいのようねええ・・・だから、つい・・・」

などと。

本日は、そんな摩擦を軽減させるべく、ひとつのコミュニケーションの「型」を紹介してみようと思う。DESC法という「型」です。もしかしたら、こういう知識は、医師よりも看護師のほうに普及しているのかもしれないですね。というのは、次に示すネタ本が「ナースのため」というタイトルだから。

ネタ本は、ナースのためのアサーション 平木典子・沢崎達夫・野末聖香 編著 金子書房 です。 アサーションと呼ばれるコミュニケーションテクニックを看護師の現場に即した形で、紹介してある本です。看護師だけでなく医師が読んでもためになるかとは個人的に思います。この本の中で、DESC法が紹介されています。P88より引用してみます。

DESC(デスク)法は、問題解決をするための話し合いをアサーティブにするための方法です。D・E・S・Cの順番にセリフをつくっていくことで問題解決に役立つアサーティブなセリフを準備することが可能になります。このセリフづくりは以下のの3つステップから成り立っています。まず最初は、必要な問題要素を明確化することです。ここで問題としてとりあげたい事柄は何か、そのことについて自分はどのように思って(感じて)いるか、そのことについてどのようにしてほしいのか、その結果相手から返ってくる反応を予測し、そのための準備をどうするかといったことです。次にこうした点について、何を伝えたいのか選択し、それを言語化しようとすることです。そして三つめに、実際のセリフづくりとなります。DESCは、それぞれセリフづくりの手順を示す単語の頭文字です。

では、それぞれの頭文字を説明します。

D:describe 描写する
E:express, explain, empathize
??? 表現する、説明する、共感する
S:specify 特定の提案をする
C:choose 選択する

となっています。

D:describe 描写する について

状況や相手の行動など、今問題になっている場面に関する事実を的確に言語化します。 この際、相手の推量や自分の推量が混じらないように気をつける必要があります。 話し合いの前提となる状況(当然両者の間で納得できるものにかぎる)を整理するわけです。


あなたの腕が未熟だったので誤診された ・・・・・・相手の推量
「私の腕が未熟だったので誤診された」とあなたは発言している・・・・・・事実

E:express, explain, empathize
??? 表現する、説明する、共感する 
について

ここでは、自分の気持ちを表明したり、自分なりの説明をしたり、相手への共感を送ったりします。 大事なポイントは、I メッセージであり、you メッセージとならないことです。

○ 私は、あなたが間違っていると思います。( I メッセージ) 
× あなたはまちがってますね。(you メッセージ)

S:specify 特定の提案をする

ここで、相手にしてほしいことや変えてほしいことなどを伝えます。これはあくまで提案であるので、「~していただけませんか?」という形で言語化します。 「あなたが・・・・・すべきだ」などといってしまうのは、you メッセージとなり好ましくありません。 ここでの提案は、すぐ実現できる具体性のある小さな要求であることがひとつのポイントです。

C:choose 選択する

この記憶術が良いと私が個人的に感じるのは、この「C」があるということです。Sで提案したことに対して、相手は、イエスかノーのどちらかの対応をしてくるわけです。そこで、Cでは、それぞれの場合に、次に自分が打つ手を想定しておくわけです。 イエスだったら、「ありがとう」と気持ちを表明するのも良しですし、ノーだったら、「わかっていただけなくて残念です」と交渉を打ち切るのも良しですし、「では、****だったらどうでしょう」と新たな代替案を提示するのも良しです。つまり、このCを事前に考えておくことで、相手に拒否されたらどうしよう・・・とかいった自らの不安を乗り越えようというわけです。 このCを自分で考えたうえでの相手の拒否の場合は、想定外の拒否に比べるとずいぶんと心的負荷が少ないと私は自己の経験からは感じます。

本日は、DESC法を紹介してみました。 最後に、実践例をひとつ。

救急車で搬入された患者が、救急外来で怒っています。 「俺は、救急車で来たんだぞ!いつまでまた待たすのだ!」と大きな声で怒鳴り始め、ただなならぬ雰囲気が救急外来に広がり始めたところです。 騒ぎ出したところで、この患者には今待ってもらうしかないと私は考えています。そうして、この患者のベッドサイドのところへいき交渉を始めました。

私 「○○さんは、来院して只今3時間45分経っています。(D) 
????? ずいぶんとお怒りのようですね。(D)」

患者 「おい、いつまで待たすのや。 はっきりできんのか! 俺はいらいらしてるんや」

私 「ずいぶんといらいらされているのですね、そうですね。もう4時間ですものね、そのお気持ちはごもっともです。(Empathy)  あなたの診察は、すでに終了しているのですが、あいにく入院病棟のベッドが空くまで、ここでしばらく待機することになりますと、説明していたと思いますが、今現在もその状況に変わりはないのです。(Explain) あまり、大きな声をだされますと、他の患者さんはもちろんのこと、私たちスタッフもいい気持ちがしないのです。(Express)  私たちは、救急外来でたくさんの患者さんを同時にかつ一生懸命診療しています。決して私達の怠慢であなたをお待たせしているわけではないのです。(Explain)

私 「とにかく今すぐ、病棟にもう一度連絡を取り、上がる時間の見通しの再確認をしてみます。 大きな声を出さずに、静かにお待ちいただけないでしょうか?(S)

患者 「 知るか!そんなもん! とにかく早くしろ!!」

私 「わかっていただけなくて残念です。(express) 他の患者さんの診療中ですので失礼します。」と交渉打ち切り(C)。その後、事務スタッフを呼んでこのクレームの対応をお願いすることにした。(C)

結局、患者にはわかってもらえなかったが、少なくとも自分の言いたいことは言えたような気がしました。やはり、私は、Cで、相手に拒否された場合は、事務方へ連絡すると事前に心に決めていたことが大きかったと思います。 

こんな場合、一方的に患者に謝るのは、私はおかしいと思います。だから、謝りませんでした。 かといって、大声をだしている患者に何も言えないというのも癪にさわります。 だから、私は、たんたんとDESCの型にのせて、相手と向き合ったまでです。

もちろん、救急外来には、もっと危険な患者がいる場合があります。例えば、凶器をちらつかすなど。 だから、DESC法を使う以前の状況がある得ることもおかねばなりません。あくまでこれは蛇足ですが。もちろん、速攻警察ですよね・・・・。


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コメント 4

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michiba

こんにちは。ミチバです。お久しぶりです。わたしもアサーションに関する本は読みました。DESC法については、うまく現場で使えるのかなというのが第一印象でした。それはさておき、常日頃感じているのは看護師さん、特に婦長、主任クラスは是非アサーションを学んで欲しいということです。まだ、アサーションという言葉を知らない看護師さんもいます。(いわんや医師をや。)で、もって今年度中にわたしのいる病院もしくは、地域の複数の病院で、学習会を持ちたいと思っています。この技法が普及すると、燃え尽き症候群が少しは減るのではないかと期待しております。
by michiba (2008-07-09 21:58) 

なんちゃって救急医

>ミチバ様

ご無沙汰しております。同感です。この技法は、ICLSみたいにコース学習ものとして普及させてもいいかもしれませんね。
by なんちゃって救急医 (2008-07-12 10:13) 

忍冬

一般人です。DESC法ではないのですが、医療者の方も、非医療者の方も、コミュニケーションスキルをあげると医療崩壊のスピードが少しゆるくなるかもしれないと思い、拙ブログにSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)について書きました。このエントリーは書いてから知ったのですが、もし医療者の方がDESC法をお一人で練習なさるのではなく、スタッフ間で練習されると、スキルが上達するだけでなく、問題意識がスタッフに共有されてお互い支えあえるのではないかと思いました。トラックバックというものがよく理解できていないので失礼かもしれないとも思いましたが、トラックバックをお送りしてみました。よろしくお願いします。
by 忍冬 (2008-07-18 14:23) 

なんちゃって救急医

>忍冬様

トラックバックありがとうございました。確かにスタッフ間で練習するのが良いと思います。
by なんちゃって救急医 (2008-07-23 21:54) 

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