So-net無料ブログ作成

怖い失神(4) [救急医療]

?↓ポチッとランキングにご協力を m(_ _)m


本日は、怖い失神シリーズ第4弾として、症例を提示する。

参考までに過去のエントリーを挙げておく。

怖い失神(1)
怖い失神(2)
怖い失神(3)

救急初期診療において失神を主訴にやってくる患者は多い。 しかし、その多くは軽症だ。いわゆる神経調節性失神(Nerally mediated syncope NMS)のたぐいのものだ。

かといって、失神の患者を浅い評価で、NMSにしてしまうと、ある一定の確率で確実に地雷をふむことにもなろう。

現場においては、失神患者の評価にあたり、軽症でいいのか? いや、そうではないのか? という実際的な判断(地雷回避のための臨床判断)を下すのは、とても高度な知的判断作業だ。それでも、その判断は、所詮確率に準じたものにすぎない。だから、常に事後の立場の人間からみれば、その診療が誤診と思えてしまうことがありえるわけだ。(後知恵バイアスという認知のバイアスの影響が大きい。) これが、臨床医学における医療の不確実性の一例である。

ある診療行為を誤診と責めたい人は、必ずこの医療の不確実性のことを自分なりに考え理解したうえで、自分がどうするかを自問自答してほしい。

では、本日の症例提示。 症例は、あるテキストからの引用(後日明示予定)。一部改変しての提示。

63歳、男性  失神

既往歴、家族歴 特記事項なし

現病歴
タクシーを洗車中に、急に嘔気をともない、意識消失。 同僚が119コール。救急隊到着時、意識は清明、血圧95/68、脈拍60で不規則、SpO2(ルーム)84。 酸素投与開始され、当院へ救急搬送。 救急外来到着時、意識清明、血圧112/52、脈拍64 整、SpO2(10L酸素) 97。 心雑音なく、肺音も正常。12誘導心電図を示す。
図1.jpg

担当医は、この心電図をみてつぶやいた。
「aVRのST上昇だ! 広範囲のST低下もあるし・・・・、これは最悪かも」

つまり、担当医は、左主幹部(LMT)が関係した急性心筋梗塞かもしれない!と判断したわけだ。
(参考エントリー:地雷の中の地雷

速攻、緊急カテーテルチームに召集がかかった。

来院して、わずか10分の出来事である。 まだ、採血データの結果は出揃っておらず(ただし低血糖は除外済み)、胸部X線、心エコーなどは施行されていない。

カテーテルチームに、この時点でこの速さで召集をかけること自体は、ファインプレーだと思いますが、これから先、地雷回避のために、チーム医療の中で、どんなことを考えますか?

(8月13日 記)

(8月15日 追記)
皆様、コメントありがとうございます。今回はかなり意見が多様であったようです。それは、それだけ今回の疾患が、診断困難な疾患という傍証でもあるのでしょう。それでも、もと救急医様、purmonary様、下っ端外科医様に「大動脈解離」の可能性をご指摘していただきました。今回の症例はまさにその通りだったものです。 しかしながら、SAHを指摘するご意見も多数ありました。低血圧気味という点が若干合わないのかもしれませんが、その路線を思い浮かべることも、地雷回避という点においては、極めて重要だと私も思います。 (参考エントリー:心電図変化に潜む地雷 )


今回の症例は、、胸痛診療のコツと落とし穴 中山書店 総編集 野々木 宏 先生 のP139 「急性冠症候群と思い原因疾患を見落とした症例」 という箇所から提示させていただきました。こうやって書きながら、この症例から私も勉強させていただいています。ありがとうございます。

さて、続き。

担当医より呼ばれた循環器医師達は、心電図を見て、すぐにエコーを始めた。

「LMTにしては、心機能が良過ぎるような気がする・・・・・」
「ん、・・・ Aoが何か変だぞ??? これはフラップかも。」

エコーをした循環器医師は、すぐに胸写を確認した。これである。
図2.jpg

縦隔が拡大している・・・・。循環器チームは、直ちに決断した。

「カテの前に造影CTだ!」

ビンゴだった。 造影CTでは、心のう液の貯留は認めないが、偽腔開存型のDeBakeyⅠ型急性大動脈解離であった。

直ちに、心臓外科へのコンタクトがなされ、緊急手術の運びとなった。手術準備中に状態が急速に悪化し、手術時には、血性心のう液(+)で、心タンポナーデの状態であった。 手術所見は、フラップによって左主幹部冠状動脈を塞ぐような形態の大動脈解離であった。

間一髪の臨床判断である。 見事なチームプレーである。 もし、AMIのみを考えて緊急カテーテルに進んでいたら、間違いなくカテ台の上で急死していたであろう症例である。

いかがでしょうか?以上が、テキストの症例を描写的に私が改変しながら提示したお話でした。

以下、私見です。

この症例のように、急性大動脈解離という疾患は、様々な顔で、我々医療者の前に立ちはだかる。この難敵を早期に見つける第一歩は、まさに、「もしかしたら解離かもしれない」という疾患を「想起する」という心構えだろうと思う。

もちろん、この心構えは、なんでもかんでも即CTという行動様式を意味するわけではない。「想起」と「CTという行動」の間には、それなりに考慮する要因がいくつもあるのだ。まさに、そこの考慮のあり様が腕の見せ所なのかもしれない。 

AMI治療は、時間との戦いのニュアンスが強いチーム医療である。だからこそ、AMIに似てAMIではない地雷疾患(大動脈解離、肺塞栓、くも膜下出血)の除外は、AMI治療の段取りを進める中で、同時進行で行わなくてはならないという難しさが救急の現場にはあるのだ。 

AMI患者が来院するといろんなことが同時進行でばたばたと進んでいく。それをチームで手分けして行うのだ。家族説明、カテ室の手配、患者急変への備えなどなど。そんなチーム医療の中で、AMI以外の地雷疾患疾患の可能性について考察する人が一人は必要なのだろうと思う。AMIという切羽詰った臨床状況の中でも、地雷を踏み抜かないためには、チーム医療でないとなかなか難しいだろうと私が思う所以である。

AMIと心電図で診断が付いた後は、つい急ぐが故に、心エコーやレントゲン、採血(特に腎機能)などのチェックがおろそかになりがちだ。まして、一人ですべてをやっていれば・・・・・。私自身の失敗談を告白すると、カテを急ぐ余り、心エコーをはっしょってカテ室に走ったが故に、AMIによる心破裂(woozing type)に続発した心タンポナーデの状態を見逃してしまった痛い経験がある。 チームで事を進めることによって、より正確な臨床判断が可能になると思う。

まとめます。

本日の教訓
AMI? もしかしたら、他の地雷かも? 
チーム医療で地雷を回避しよう!


コメント(17)  トラックバック(0) 

コメント 17

コメントの受付は締め切りました
長野の小児科医

これはきっと「たこつぼ心筋症」ですね。
私も同様なケースを何例か経験したことがあります。

心筋梗塞の原則として、
心拍数・血圧があるていど保たれている例は、
失神は来たしません。

きっとくも膜下出血による
高カテコラミン血症がひきおこした
たこつぼ心筋症かと思われます。

同様に、心疾患でないのに心電図異常がでるものとして、
胆のう炎などもあります。

まずは「突然の失神」という経過からも、
頭部CTを撮影して、SAHをルールアウトするべきでしょう。
by 長野の小児科医 (2008-08-13 15:50) 

SATE

心電図は苦手なので、あえて読まないで。

初っ端の不整脈と、酸素10リットルでも飽和度97%が気になりますね。vitalがあわないですが、肺塞栓症とかはどうでしょう。

昔心電図変化のある心窩部痛で、結局は十二指腸潰瘍からの大出血だった症例を思いだしました。
by SATE (2008-08-13 18:50) 

通りすがりの医師

エントリとは直接関係ない話題で申し訳ありません。以下は日本電波ニュース社報道部の真々田弘氏がNPO「医療制度研究会」の8月9日の夏季研修会で発言した内容です(CBニュースより)。社名がちょっとアレですがw、NHK、日本テレビ、読売テレビ、テレビ朝日、フジテレビの番組を手がけている歴史ある会社のようです(HPに「日本で初めてのテレビニュース通信社」とあります)。耳には痛いですが、彼の意見は傾聴に値すると思います。医療系ブロガーの方、ブログにコメントされている皆様はどのように感じられますか?

救急医療に関するドキュメンタリー番組の制作などを手掛ける真々田氏は、「現場を見ることが取材に対する姿勢」と語った上で、これまでの活動を紹介した。(中略) 真々田氏によると、取材を続けるうちに制作スタッフは医療者の現状を理解していった。視聴者目線ではなく、医療者側の立場で番組を作ろうと意識が変わり、テレビ局のスタッフも番組の放送直前になって「医療と裁判は相性が悪い」と理解した。
 当初は視聴者からの批判を懸念していたが、予想外に反応が良かったという。真々田氏は「きちんと伝えれば分かってくれるのだと思った。『こんなに医者が頑張っていると知らなかった。もっと伝えてほしい』との感想があった」と紹介した。 
 真々田氏は、取材を続けるうちに感じた思いを、次のように語った。
 「5、6年前に比べ、潮目が変わっている。視聴者は『自分たちが医療を受けられなくなるかもしれない』と皮膚感覚で感じているから、こういう番組が受け入れられるようになってきた。医療者が発する言葉を視聴者が待っている。医療をどう守っていくかの提言を番組として出したが、困っている。取材をする中で、個々の医者が頑張っている姿しか見えず、医療者の集団が見えてこないからだ。日本医師会も学会も勤務医の声を代弁していない。誰の声を聞けばいいのか。集団としてのまとまりのなさに、ある種情けなさを感じる。日雇い派遣(の業界では、)制度を見直させている核となる人間の数は1000人いないかもしれないが、声を上げて政治を動かしている。26万いる医師たちは何をしてきたのかと思わざるを得ない。医療が悪くなっていることを伝えてこなかったわたしたちは『マスゴミ』と呼ばれても仕方がないと責任を痛感する。では医療者は何をしてきたか。現場で毎日が厳しくなり、医者が足りなくなっていると、医療界全体として発言してきたのか。医療を今後、どんなものにしてほしいか、医療界が知恵を集めて提言してきたことがあったか。 (中略) 今がチャンス。メディアも変わりつつある。医師のつらく苦しい現場が開かれれば、わたしたちは入る。特に今は視聴者が求めているから発信できる。医療者は総意や知恵を集め、何らかのアクションを起こしてほしい。わたしたちはそれを支えていけると思っている」

by 通りすがりの医師 (2008-08-13 19:08) 

もと救急医

僕も第一印象は
失神+Sp2↓の主訴からPEのR/Oが必要かなぁと思ったのですが、
1点予想は地雷を踏む最大の原因だと思います。

やはり基本に忠実に鑑別診断をあげて行くのが良いのでしょう。
個人的には、急性期の鑑別診断の想記法は
臓器をイメージしていくのが良いと思います。
(VINDICATEとかはどちらかといえば総合内科的だなぁと思います。)
(もっとも自分はいつもPDAを見てカンニングしてましたが)
となると、
心血管系(MI,不整脈、ダイセク、PEなど)
 →診察の上、心エコーはmust、場合によって造影CT
   Dダイマーもこっそり提出ですかね。
systemicなもの(貧血、脱水、プレショック)
 →違うっぽいですけど。
   身体所見とスクリーニング採血で引っかかるでしょう。
神経系
 →一応CTなんでしょうけど、どこまで意味あるか。。
  ルンバールまで行く男気はないかなぁ。どうでしょう。

あとは合わせ技を考えるべきでしょう。
なんで心電図変化(MI?)になったのか、MIになるとどうなるか。
そうするとやっぱりダイセク、心タンポが気になります。
不整脈に備えるとともに、これらをr/oしたいっすね。
やっぱり下手でも心エコーあてたいですね。


>長野の小児科医さま
(すいませんちょっと議論をふっかける感じになりますが)
「心筋梗塞の原則として、拍数・血圧があるていど保たれている例は、
失神は来たしません。」
不整脈なんかではよく失神すると思うのですが。
むしろむしろ失神の主訴で絶対に否定しなければいけないのが、
先に挙げたMI、ダイセク、PEなどの心血管系だと思います。
「まずは「突然の失神」という経過からも、
頭部CTを撮影して、SAHをルールアウトするべきでしょう。 」
たしかにSAHで失神する方いるのは事実ですが、
頭部CTでわかるくらいでしたら、もう少し他の症状もありそうですけど、
どうでしょうか。
個人的には失神に対して頭部CTをとる意味はあまりないと思っています。
と言いつつも、たしかにこの心電図はただのMIかと言われれば、
そうでない気もします。
とりあえずエコーを当てるのがいいのでしょう。



by もと救急医 (2008-08-13 20:11) 

GYNE

担当医さん、いい仕事してますね!
あとは超緊急のVを否定するための、急変覚悟の全身CTでしょう
ところで救急隊到着時のSpO2(ルーム)84が不気味ですね。
by GYNE (2008-08-13 20:21) 

DYP

念のため、頭部CTの撮影でしょうか。
Spo2(Room):84というのもちょっと引っかかりますね。

ただ、最悪の場合CT室が墓場になってしまう可能性があるので、
「カテかCTか。カテをCTのために数分遅らすか、先にカテをしてからCTを撮っても遅くないか。」
を天秤にかけた上での撮影になるかと考えます。
by DYP (2008-08-14 00:56) 

白

嘔気を伴う意識消失より、SAHは鑑別に入れて良いと思います。
「SAHで広範囲のST変化を引き起こす事があるので、見落とさないように」と、上司から以前聞いた事があります。自分の経験例では広範囲にST上昇をきたされていました。しかし、長野の小児科様に自分の思うことを全て書かれておられ、これ以上書くことがないです^^;

話は変わりますが、後頚部痛→SAHを見落とすな、の症例ありがとうございました。先日当方の経験した症例です。
--症例 50代男性--
糖尿病の既往あり。朝排尿後より突然立ちくらみ・後頚部痛・全身の冷や汗出現。少し休まれている間に症状改善を認めるも、家人が大変気にされ当院受診。受診時、後頚部痛ほぼ消失、バイタル安定、心電図問題なし、神経学的異常認められず。
-----------------
排尿後低血圧かと思いましたが、軽減しながらも持続する後頚部痛が気になり頭部CT撮影しましたところ、SAHでした。緊急手術となり、患者様は後遺症なく無事退院出来そうです。
by 白 (2008-08-14 01:33) 

石部金吉

問題の趣旨からすると、
ダブル・トラップになっていて、1つめがAMI
2つめは何か?
というところですね。

そこにSAH、PE、AADなどが想定されるというのが、
ここまでの皆さんのコメントですが、私には皆目わかりません


問題の中に「チーム医療」という言葉が入っているので、
案外、
カテチーム到着まではDCを持って患者から離れるな、
トイレに行きたくなったら尿瓶を持ってきてもらえ、
「大」の方ならパンツの中にやれ、
という原理原則の確認でしょうか?

ところで、
もし病棟からCPRコールがかかって、
当直の医者が自分しかいない場合はどうするべきか?

自分は病棟に走っていくとして、
AMIの患者がVfになったら誰がDCするのか
医学的にはその場にいる人が誰でもDCをやるべきでしょうが、
法律的にはナースがDCやるのは不可じゃなかったかな

法律を守って患者を見殺しにするのか、
法律に違反してでも救命を優先するのか、
心マッサージでお茶を濁すのか

人命か法律か、
ここはひとつ裁判所か検察に判断を仰ぎましょう!

というのは冗談で、
ベッドサイドにAEDを持ってきておいて、
患者の胸部に予め電極パッドを貼っておくという手があるかも

AEDなら誰でも使用可ですね

実際には皆さん、どうされているのでしょう?

by 石部金吉 (2008-08-14 05:29) 

メイ

長野の小児科医さん、同様に
SAH→たこつぼ心筋症
を鑑別に挙げるべきでしょう。
V3-V6の広範囲なNegativeTもありますし。

チーム医療として、地雷として注意するのは、
AMI(LMT病変)→まっ先に心カテ直行→へパリン点滴

これが最悪のシナリオになるかと考えます。SAHの除外せずにへパリン使うことになるから。

ちなみに私の経験で、
1:意識消失で頭部打撲、救急搬送。
2:頭部CTで明らかな異常なし、諸検査で肺塞栓と診断。
3:へパリン点滴。
その後
4:病棟内でレベル低下。
5:頭部CT再検で広範囲な脳出血。

というのがあります。受診時の頭部CTをよく見直すとわずかに脳挫傷あり。
by メイ (2008-08-14 13:25) 

メイ

すいません。コメント途中で終わってました。

今回の症例が「AMI疑いだったがSAH」かどうかわかりませんが、
前述した私の「肺塞栓+脳挫傷」症例と同様に、
要は、治療のために隠れた疾患の悪化を招くかもしれない、との注意、教訓が大事なんだと思います。

脳梗塞急性期治療のtPA使用時に動脈解離の除外が必要なのと同様です。


by メイ (2008-08-14 14:07) 

勤務医です。

まず 呼吸状態が悪すぎます。SAHでも変です。嘔吐したのでしょうか?
呼吸数は数字でだせなくても 頻呼吸かどうか? 胸部X線より 胸部CTでも良いのではないかと思います。
次に 悪心を伴い意識消失 というのが 気になります。頭痛の記載はありませんが、やはり一緒に 頭部CTも行うので よいのではないかと 思います。(循環器内科医のない当院なら まずは これしかできないか、ということでもありますが。)
あと、
既往歴がはっきりしてなくても 何か慢性疾患もあったという可能性も一応 頭をかすめます。
by 勤務医です。 (2008-08-14 21:25) 

pulmonary

心電図変化があるのは間違いありません。
心電図だけみるとLMTのAMIを考えたいところです。
しかし、低酸素と失神を考えると、
SAH、大動脈解離、肺塞栓はピットフォールになると思います。
しかしSAHとすれば頭蓋内疾患に低酸素なしの原則がありますので、
例外を考えなければなりません。
神経原性肺水腫、タコつぼ型心筋症にともなう急性肺水腫、嘔吐による誤嚥、など。それならば肺音正常なはずはなさそうです。
大動脈解離→LMTの閉塞とするとやはり低酸素が合いません(上と同様の理由で左心不全に伴う肺水腫では肺音正常はおかしいです)。

肺塞栓とするとあの派手な心電図変化が合いません。

何か2つの病態(疾患)がかぶっているのでしょうか??
胸部Xpならポータブルでとりますので、カテの前にまずはそれを優先します。
by pulmonary (2008-08-14 22:25) 

下っ端外科医

O2 10LでSpO2 97で、救急隊到着時脈が不整ですか。
例えば既往歴でAf等はなかったでしょうか?
心腔内血栓があれば一過性脳虚血発作もあり得ますが、皆さんが上げられているように肺梗塞も十分考えてしまいます。
失神だけで考えると勿論高度房室ブロックなどもあるかもしれませんが・・・ってECGでP波見えますか?あれ?
ひょっとして体外型一時ペーシングでしょうか?
後は大動脈解離も考える(痛みの訴えは来院時は無いようですが)と、まずは心エコーチームコールでしょうか。
そして、大動脈緊急症(出来ればAAAruptureの後腹膜血腫まで?)と肺塞栓(HCC下大静脈浸潤の塞栓なんて狙いすぎですね。)をとりあえずルールアウトして、(その頃には最初の採血結果も出ているでしょうから)念のためクロス用採血取ってからCTでの頭部~骨盤内チェックでしょうか。
おっと動かす前のポータブルでのBx-pチェックを忘れていました。まさかまさかの緊張性気胸・・・やり過ぎですか?
by 下っ端外科医 (2008-08-14 23:37) 

もと救急医

興味深い症例有り難うございました。

やはり、ルーチン化は地雷を避ける
有用なツールだと思います。
しかし、一番よくないルーチンワークは
その意図を考えないルーチンワークです。
今回の症例はエコー、レントゲンで鑑別可能ですが、
検査をしても、意味をわかってない医師は見逃すと思います。

いやな考えですが、
「やるべき検査をやらなかった」
「やったのに見逃してしまった」
であったらどっちが裁判で負けそうでしょうか。

自分が救急外来で上級医をやっていたとき、
MI疑いの患者が来たときに診察している
1~4年目くらいによく質問をしていました。
「で、聴診でなにを聞いてるの」
と聞くとだいたい
「うーん。肺水腫とかっすかねぇ」位の答えだけですし、
「エコーで何見てるの」と聞くと、
「いやー。ここがアシナジーっすか?うーん」
位しか返ってきませんでした。

結局頭のフレームの中に、
「この診察で心破裂や断裂をルールアウトするんだ!」
「この検査で心タンポをルールアウトするんだ!」
というのが無いのでしょう。
きっとこういうことを教えてもらえる機会がなかったのかもしれません。
幸い、僕は研修医のときにこんなことばっかり教えてもらえました。

悲惨な裁判があまりに多いとはいえ、
地雷を踏んでしまう原因は医師の研修にもあるような気がしています。

by もと救急医 (2008-08-15 13:11) 

れちな

全くスレ違いなのですが。
死生観について。水曜どうでしょうという北海道の番組があるのですがそのHPにディレクタ-さんが日記を書くところがあります。その一人嬉野さんという方が書かれる文章が今の時代について考えさせられることが多いのですが、今回の8/17の日記は死について、普段は考えないことだけど順番にやってくるものということを医療人ではない人が見事にその世界観を描いていると思います。先生にもちょっと読んでいただきたくコメントします。もちろんこれは読んでいただき次第削除してくださいませ。
by れちな (2008-08-17 23:07) 

なんちゃって救急医

>れちな様

ありがとうございました。 日記拝見させていただきました。 水泳大会の順番待ちの心境と、父の死の経験をうまく結びつけて表現してる文章でした。興味深かったです。


by なんちゃって救急医 (2008-08-20 21:32) 

れちな

お忙しいところありがとうございました。また、お時間ありましたら時々のぞいてみてくださいね。
私もこちらでいろいろと勉強させていただいております。
今後とも宜しくお願いいたします。
by れちな (2008-08-29 20:26) 

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。